sinboj_hedline.gif (1986 バイト)

シドニー五輪へ期待されるホープたち/女子マラソン「期待に新星」 キム・チャンオク選手(23)


 昨年12月の第13回アジア競技大会(バンコク)での快走が記憶に新しい、共和国女子マラソン代表、キム・チャンオク選手(23)。初日のレースで、ゴールの120メートル手前で2位の日本選手を抜き去り、テープを切った。国際大会出場2試合目にして堂々の銀メダルである。

 前回の1996年アトランタ五輪では26位だった。「あの時は緊張から、自分のペースを忘れてスタート直後から飛ばしてしまった。それでリズムを崩して、10キロ付近で先頭集団から置いて行かれてしまったんです」。この教訓を踏まえ、レース中もペースを崩さない強い精神力と持久力、持ち前のスピードに磨きをかけてきた。

 こうして、気持ちも新たに迎えたアジア大会。朝7時の時点で気温が28度と、レース当日は高温多湿のかなり厳しいコンディションとなった。しかし、各国・地域の強豪選手が相次いで脱落する中、キム選手は終始、自分のペースを維持した。

 圧巻はゴールの直前。「元々は5000メートルや1万メートルが専門。トラック勝負には自信がある」と本人も言うように、競技場に入ってからもスピードは落ちず、前を行く選手が「止まっているように見えた」ほどの健脚で日本選手を捉え、突き放した。

 近年、マラソンは単純な持久力勝負ではなく、瞬発力が重視されるスピード勝負へと変遷している。1万メートルから転向する選手も少なくなく、その多くが好タイムを記録している。キム選手も、昨年10月の人民体育大会で2時間27分2秒と自己ベストを更新。昨年11月現在でのアジア記録が2時間29分32秒だったことから、相当な水準であることが伺える。

 在日同胞も自分を見守ってくれていると心に思いながら、走っているというキム選手。5人姉妹の中で唯一のスポーツ選手である四女は「家族のためにも、シドニー五輪では必ずメダルを取りたい」と語る。 (高)