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生活と権利擁護に誠心誠意で/同胞の生活と権利シンポジウム―京都


 東京同様、参加者から切実な訴えと重要な指摘が相次いだ「在日同胞の生活と権利シンポジウム―民族性、結婚、就職、福祉その現況と課題(近畿)」(21日、京都)。シンポは、組織が同胞の生活と権利を守るためになにが出来るか、なにをすべきかを真剣に考え、誠心誠意取り組む必要性を改めて浮き彫りにした。総聯中央の柳光守同胞生活局長は結語で「同胞たちのために頭を使い、汗を流し、誠心誠意を込めて対策を立てよう。総聯を顔の見える組織にしよう」と強調していた。(慧)

 

専門家、有資格者を

 福祉をテーマに報告した京都同胞生活相談所の鄭禧淳所長は、(1)同胞社会が高齢者、障害者に対する正しい認識を持つべき(2)高齢者が生き生きと生活できるよう組織が関心を向ける(3)障害者の社会的自立に向けて何ができるか研究(4)高齢者、障害者の権利拡大、行政サービスへのアクセスで総聯の役割を高める(5)同胞の福祉問題専門家、有資格者を組織的に育成する(6)日常的な新しい助け合いの運動を展開する――などと提案した。

 2部からパネリストに加わったハーモニー共和の鄭富子副施設長は、「共和病院で看護婦として働きながら、同胞高齢者のための施設を作る必要性を切実に感じていた。生野区は同胞が多く、高齢化も他地域より早く進んでいる。1人暮らしの率も高い。共和病院の老人病棟はいつも満員で、退院しても慢性的な病気などで1人暮らしが困難な同胞高齢者も多かった。生野に施設ができた意義は大きい」と述べた。

 また開設に備えて研修に行った他の施設で、朝鮮名を隠す同胞高齢者が多かったことや、日本語を忘れてしまって看護婦や職員とコミュニケーションが取れなくなった同胞高齢者が痴呆症や失語症と片付けられてしまい、孤独感から日常生活の機能まで落ち込んでいる姿を多数目撃したことなどについて話し、支部や分会が一刻も早く同胞高齢者の生活実態を具体的に把握する必要があると強調した。

 京都生活相談所の勧めで3月にヘルパー2級試験に合格したという京都の李福順さんは、「朝鮮語が話せ、朝鮮料理を作れるヘルパーが必要だと常々思っていた。苦労を重ねて来た1世が楽しい余生を送るための助けになれば」と会場から発言。滋賀から参加したある同胞障害者の男性は「総聯組織が同胞の生活を守るというならば、もっと当事者の声を聞いてほしい」と訴えた。

 

国籍問題よく知ろう

 同胞結婚相談近畿センターの朴輝国所長は報告で、昨年結婚した約1万人の在日同胞のうち、約7200人が国際結婚だという数字をあげ、その深刻さを指摘した。

 そして、民族教育を受けた若者の9割近くが同胞同士の結婚を望むのに比べ、日本の教育を受けた場合は8割以上が日本人との結婚を肯定しているという調査結果もあるとして、若い同胞らの民族意識を育むためには幼い頃からの教育が大切だと強調。民族教育はもちろん、朝青や青商会、留学同、日校学生会などの活動が大切だと述べた。

 2部からパネリストに加わった白吉雲司法書士は、すべての在日同胞に不当に南朝鮮国籍法を適用する日本政府の差別政策を現場で目の当たりにしてきた経験について語り、同胞の間で国籍問題に対する正しい認識を持つようにする幅広い啓蒙活動が重要だと指摘した。

 会場から、就職問題と関連して発言した京都朝鮮中高級学校のある教員は、「生徒たちの就職先を探す場合、ほとんどは家族、親戚のつてに頼るしかないのが現状で、選択肢が限られる。同胞社会の幅広い情報を集め、提供できるシステムが必要だ」と訴えた。また就職問題解決のためにも、同胞企業の育成と人材の育成の双方に、組織がもっと力を入れるべきだとの意見もあった。