総聯広島県本部、1世同胞の証言収集へ
総聯広島県本部(金鎮湖委員長)は、県内に住む1世同胞の祖国解放前の体験談の聞き取り作業を行う。
在日同胞社会で世代交替が進む中で、1世の貴重な証言を後の世代に伝えて行くことが目的。5月には金委員長を代表とする証言収集委員会を発足させて作業を進める。
広島では1970年代に朝鮮人被爆者の調査が行われたが、植民地時代の在日同胞の生活全般に関する調査は、これが初めて。
県本部では、「1世の高齢化が進んでおり、恐らくこれが最後の機会になる」として、本格的な取り組みへの意気込みを見せている。 証言収集委員会は金委員長のほか、李実根・県朝鮮人被爆者協議会会長や広島市内の高校教諭のグループ「広島の強制連行を調査する会」メンバーら約10人から構成され、朝鮮人強制連行真相調査団の協力も得る。
国籍や所属団体を超えて幅広い証言者を募り、内容も、強制連行や被爆の体験はもちろん、留学のために渡日してきた人など強制連行とは直接関連のないケースや、県外での体験も対象に含める。とくに、これまで少なかった女性からの聞き取りにも力を入れるという。調査結果は歴史的検証を加え、8月に出版したい考えだ。
収集委員会の事務局長を務める姜周泰・総聯県本部国際部長は、「1世が味わった苦しみを浮き彫りにできればと思う。2、3世には1世の体験を、自分のルーツとして認識して欲しい」と話している。
問い合わせは同本部 TEL 082−263−5311へ。