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準備進む東京・新宿アリランフェスティバル


 東京・新宿の職安通りは今や大阪・猪飼野と並び称されるコリアンタウン。朝鮮料理屋や食品店、美容院や書店が所狭しと立ち並ぶ通りにはハングルの看板が目立つ。聞こえてくる言葉も朝鮮語が多い。この職安通りに代表されるように、新宿には東京都内で最も多くの外国人が暮らす。3月末現在の外国人登録者数は2万552人。中でも同胞の数は8619人と全体の約42%にのぼる。この中には南朝鮮から来た人々も多く含まれる。そのような新宿の特色を生かして企画されたのが、16日に新宿ステーションスクエアを中心に行われるアリランフェスティバルだ。(聖)

 

地域の特徴を生かす

 話は2年前の1997年5〜8月に行われた「同胞訪問、奉仕、団結、3ヵ月運動」の時にさかのぼる。 新宿という地域的特徴に合わせ、総聯だけでなく民団、組織に属さない人、さらに南朝鮮から来た人々まで網羅できるイベントができないだろうか。そう考えた東京・新宿支部の朴石夏委員長は、既成の枠を越えて、幅広い層が参加できる物としてアリランフェスティバルを企画した。

 民族の象徴、統一の象徴であるアリランを名称に冠したのは、南北統一の早期実現に大いに貢献したいとの思いがあったからだ。また、イベントが屋外で行われることから、不特定多数の日本の人々に朝鮮民族の統一への思いを広く知らせ、理解を深める場にもなる。 

 「これまで総聯主導でこのようなイベントを企画したことはなかったと思う。今回のフェスティバルをぜひ成功させて全国的に一般化できれば」と朴委員長は意気込む。

 フェスティバル実行委事務局長を務める洪智幸支部副委員長も、「『コリア・イズ・ワン』と書かれたチラシを持って南から来た人々を訪ねると『是非参加したい』と歓迎してくれる。新宿支部の活動も一回り大きくなろうとしている」と話す。

 

インターネットにも

 最初の準備委員会が開かれたのは3月8日。その後、実行委員会を発足し、宣伝班、公演班など各班に分かれ、広報活動、パンフレット作成、公演出演者の演目決定など着々と準備が進められている。

 実行委では4月1日に第1回、17日に第2回会議を開き、それぞれの準備状況や改善すべき点などを話し合っている。今月14日には第3回会議も開く予定だ。事務局会議は随時開いている。

 今回の特徴は青商会が中心となって準備を進めている点。実行委委員長も具本憲・新宿青商会会長が務める。会長が頑張るならと、パンフレット作成、インターネットを通じた広報活動など様々な形で、青商会幹事らが積極的に準備作業に関わっている。

 具会長は、「新宿青商会はこれまで学習会や親ぼく会などを毎月定期的に行うことで、運営を正常化させてきた。会員らの結束も固い。今回のフェスティバル準備作業をきっかけに、今後は支部でも中心的役割を果たし、連携を深めて行きたい」と語る。

 朴委員長は、「3、4世の若い世代が中心になって企画を考えてくれるので斬新な意見も多く出ている。彼らが総聯の活動を引き継いでいくことを考えると頼もしい」と強調した。

 

南北平和が世界平和に

 今回最も大変だったのは区の後援を受けることだったという。初めて行われるイベントに対しては区は後援しないのが恒例だからだ。だが、日本の人々の尽力もあって、区の後援が実現した。

 水害支援のために97年10月に訪朝した日本人歌手、京一夫さんは当日、「われらの願い」の替え歌「僕ら地球人」を歌う。「僕の願い平和/君の思い平和/心ひとつ愛/助け合おうよ/鉄砲も大砲もない/国境も差別もない/僕ら地球人 愛し合おうよ」という歌詞で平和な世界を築こうと訴える。

 「南北の平和は世界の平和にもつながる。僕の歌がそんなメッセージになれば。そして日本人も朝鮮人もみんな仲良くなろうよと伝えたい」と語る京さん。共和国への水害支援活動も兼ねた「僕ら地球人」コンサートツアーも、6月5日の新宿文化センターからスタートさせる。