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20万足の靴、海を越え/総聯福岡同胞とアサヒコーポレーション労組が共和国支援


 総聯福岡県本部では、日本の労組関係者から提供された製靴メーカー、アサヒコーポレーションの在庫20万足を、祖国支援活動の一環として送った。男性用、女性用の200余種にわたる靴はすべて新品だ。4月21日、まず14万足が博多港から船便で発送されたが、輸送費や保管費などの経費は、同本部管下の同胞たちが協力して出し合った。共和国の人口は2200万。20万足と言えば、110人に1足の計算となる。残る6万足は20日に発送される予定だ。(高)

 昨年夏、福岡の同胞商工人らが共和国に贈るため、アサヒコーポレーションから6万足の靴を購入したのが最初のきっかけだ。

 同年3月、会社更生法の適用を受け、実質的な倒産状態となった同社では、大量に抱える在庫の山をどう処理するかが深刻な問題となっていた。以前から交流があった総聯福岡県本部と同社の労組役員らがこうした状況について何度か話し合う中で生まれたのが、在庫処理を共和国支援に結び付けるアイデアだった。こうして総聯側は在庫のうち6万足を購入し、共和国に贈ることになった。

 アサヒコーポレーション労働組合の小川清登委員長は「あの時は本当に助かった。総聯のおかげで苦境を乗り越えることができた」と語る。同労組では「その恩に応えよう」と昨年7月には、段ボール50個におよぶ支援物資を共和国に送っている。

 こうした経緯を経て今年2月、アサヒコーポレーション労組は、最後の在庫である20万足の靴を共和国支援に無償で提供すると申し出た。

  「ミサイル騒動」などによる最近の反共和国の空気の中、同社の役員会では共和国支援に難色を示す人もいた。しかし、労組幹部らは「困った時に私たちを助けてくれた総聯を信じる」と役員らを説得した。

 こうして20万足の靴が提供されることになったが、共和国に送るまでの経費はすべて総聯本部が解決しなくてはならなかった。実に段ボール7800個、10トントラック25台分。久留米市にあるアサヒコーポレーションの倉庫から博多港までの輸送費、分類作業や税関申告の費用、保税倉庫や船に積み込むための代金、運送料など、経費は莫大だ。

 こうした経費は同胞たちが少しずつ出し合って集めることにした。在庫処理と聞き当初は抵抗感を持つ同胞もいたが、実物を見て「十分に市場でも通用する品ばかり」と満足。「仮に安く見積もって1足当たり500円だとしても、20万足で1億円分の支援となる」と、同胞たちは経費集めに熱心に取り組んだ。

 同本部関係者らは「朝・日親善の気持ちにより実現した今回の祖国支援事業を、祖国を思う同胞たちの熱い思いが大きく実らせた」と話している。