時事・解説/南で高まる「国家保安法」撤廃要求
民族自主・統一阻む悪法 /相次ぐ声明、抗議運動
共和国は、反北外勢との「共助」の破棄と合同軍事演習の中止、「国家保安法」撤廃、統一愛国団体と人士の統一運動の自由保障という先行実践事項を南が履行すれば、今年上半期にも南北高位級政治会談を開催できると明言した。そのうちの一つである保安法撤廃問題と関連し、南では、市民はもちろん海外同胞や国際団体からも、その悪法性に対して非難の声が高まっている。(根)
1日平均1.24人逮捕
金大中「政権」は昨年2月の発足当時から労働運動や学生運動を弾圧しているが、中でも「韓国大学総学生会連合」(「韓総連」)に対しては、代議員への脱退強要や集会やデモに対する無差別弾圧など、執ような瓦解工作を続けている。
当局は「韓総連」のすべての行事を「不法集会」と見なして、代議員は「利敵団体加入罪」違反で、個人的に参加した者も「反国家団体活動同調罪」違反で処罰すると公言し、昨年4月の第6期代議員大会を源泉封鎖。全国民主労働組合総連盟(民主労総)と合同で行った「5・1デモ」も、「不法・暴力デモ」と決めつけ、催涙弾で弾圧した。
さらには、8・15統一大祭典への「韓総連」と祖国統一汎民族連合(汎民連)南側本部の参加を「利敵団体」との理由で認めず、訪北して祭典に参加した黄嬋代表(当時、徳成女子大4年)を11月、板門店経由で戻った直後に逮捕、懲役2年の実刑判決を下した。
金大中は就任の際、「保安法の濫用はしない」と述べていた。だが、新「政権」下での保安法違反による逮捕者は1日平均1.24人で、金泳三「政権」初期のおよそ6倍。「無差別逮捕という意味では全斗煥・盧泰愚『政権』よりひどい」(人権団体関係者、ハンギョレ新聞1998年11月29日付)との声が漏れるほどだ。
アムネスティも動く
「南北統一を妨げる『国家保安法』を撤廃しよう」――。釜山や大田など各地の矯導所の良心囚が2月に掲げた獄中闘争委員会のスローガンだ。
昨年12月、30余の在野・市民団体と15の市・道の社会団体が、保安法撤廃運動を活動の軸とする民主改革国民連合を結成。今年1月には「民衆の基本権保障と良心囚釈放のための共同対策委員会」など2団体が民権救国宣言で、2月には「雇用・失業対策、財閥改革、国際通貨基金(IMF)への対応のための汎国民運動本部」が記者会見で、保安法は民族自主を阻む悪法だと強く非難した。
さらに、日・米・欧の僑胞団体による「国家保安法撤廃海外連帯会議」が今月8日に撤廃要求闘争を宣言したほか、昨年12月に南当局に撤廃勧告を行ったアムネスティ・インターナショナルも各国支部メンバーを中心に5月末まで集中抗議運動を展開中だ。
こうした運動拡大の背景には、昨年12月1日に保安法制定50周年という節目を迎え、ハンギョレ新聞をはじめ各メディアがその悪法性を厳しく追求、保安法に対する市民の関心が高まったことが挙げられる。
市民の78%が「撤廃を」
保安法の撤廃はなぜ必要なのか。
それは、保安法が同族の北を「主敵」、その海外公民団体である総聯を「反国家団体」、北の主張に賛同する団体を「利敵団体」、北を利する言動を「利敵行為」と規定する、同族敵視の悪法であり、歴代「政権」の反統一・反北対決の道具として、民族の和解と団結を阻んできたからだ。訪北人士や民主人士を弾圧する保安法がある限り、幅広い対話と交流は難しい。
世論調査で市民の約78%が「撤廃・改正」を望んでいるとの結果が出るなど、内外の批判を受けての「苦肉の策」なのか、朴相千・法務部長官は3月の「国政報告会議」で保安法「改正案」を発表した。
しかし、若干の「修正」で全面撤廃の公論化を避ける意図は明白だ。南の人権専門家は「保安法の適用率を下げるだの何だのと論議されているが、法自体を残せば結果は同じ。抜本的に変えるべきは保安法そのものだ」(ハンギョレ新聞98年11月29日付)と語る。