民族大団結で統一へ/90年代の歩み(17)
金剛山観光事業の開始(1998年11月18日)
民間級交流の模範
1998年11月18日、北の民族経済協力連合会と南の財閥トップ、現代グループとの南北経済協力に関する合意に従い、待望の金剛山観光第1陣が出発した。
金剛山観光事業は「民族の宝」として愛される金剛山の見学を望む南の人々の願いを受け、現代グループが発案したものだ。金正日総書記は民族大団結5大方針の中で、同胞間の往来・接触・対話と連帯・連合を広範に実現することが、民族大団結を実現する重要な方途の一つだと指摘しており、金剛山観光事業はまさに、民族大団結に寄与する「民間級交流の模範」(宋浩京・朝鮮アジア太平洋平和委員会副委員長)と言える。
現代グループの鄭周永名誉会長一行は98年6月16〜23日、同胞愛で準備した牛500頭を連れて訪北した。鄭名誉会長の故郷は北の江原道通川郡。89年にも第3国経由で空路訪北しているが、今回は民間人としては初めて板門店経由という陸路での訪北となった。
民族経済協力連合会と現代グループは同月22日、金剛山開発に関する議定書を交換し、遊覧船観光事業の契約書を締結。鄭名誉会長は10月27〜31日、再び板門店経由で訪北し、金剛山観光事業や火力発電所建設、工業団地開発、石油開発・供給など10項目の南北経済開発協力事業で北側と合意した。
この2度目の訪北時には、金正日総書記が10月30日、自ら宿舎に鄭名誉会長を訪ね、石油開発など、民間レベルでの南北経済交流などについて話し合った。こうして、金剛山観光事業は11月18日に晴れてスタートした。
金剛山観光事業は今月24日までに、108回にわたり実施され、参加者は計7万余人に達した。また、現代グループは3月、南北経済協力事業の窓口を一本化することで事業を発展させようと、株式会社「現代峨山」を設立。南北の労働者600余人による初の南北共同建築物である、温井里の文化会館「金剛山文化会館」と休息所「温井閣」も2月に完成するなど、船による観光事業だけでなく、金剛山一帯の開発事業へと拡大している。
鄭名誉会長は「板門店がいつか本来の平和な場所に戻り、南北が自由に往来できる場所になることを信じる」と述べ、一連の事業を統一を早める大きな一歩にしたいとの意思を示した。金剛山観光事業は、同胞愛の情から実現したものであると同時に、南北の自由往来、民族の和解と団結のための礎を作ることで、統一に貢献したいとの思いから始まったものでもあった。