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20世紀の朝鮮半島情勢/カミングス・シカゴ大教授の講演(下)


外交派と強硬派の対立/合意つぶしのリーク

CIAの陰謀

 (米朝高官会談などの)成果の大部分は、米国ではなく共和国の意志によってもたらされたものだ。

 共和国が初めて軽水炉への転換意思を示したのは、この会談が実現する約1年前のことだった。1993年11月、共和国は10〜11項目からなる折衷案を提示したが、これが94年10月に採択された朝米基本合意文の母体である。

 この折衷案は、軽水炉への転換だけでなく、外交官の交換、究極的には国交正常化など様々な提案を示した。また、50年から続く対北経済制裁も解除するよう求めたが、まだ部分的にしか解除されていない。

 合意にはクリントン政権が選んだ外交的な戦略や大きな意義が含まれている。実際、朝米基本合意文は、53年以来、朝鮮半島で外交によって解決された唯一のものである。しかし、現在クリントン政権はほかのことに足をとられ、ホワイトハウスと国家安全保障会議はその後4〜5年間、朝鮮問題に神経を払うことができなかった。

 個人的な見解だが、(98年の女性スキャンダルと関連して)クリントン弾劾の可能性が低くなったために、急に98年8月、米国防総省(ペンタゴン)から共和国の地下施設に関する情報がニューヨーク・タイムズにリークされたと思う。地下施設は、寧辺から約30マイル北に位置し、プルトニウム再処理が目的であると報道された。

 プルトニウムを核兵器の材料にするため再処理するには莫大な投資が必要である。私の知るところでは、それに成功したのはイスラエルだけだ。米国は共和国の領土を隅々まで監視しているのに、最近になって地下施設の存在を主張するのは話にならない。だから私は、これはクリントンを攻撃するためのリークであると考えている。94年の合意をつぶすためのペンタゴン、CIA、また右翼勢力の陰謀だと思う。

 

円満な対北関係を

 私は、米政府の行動指針がクリントンとそのブレーンたちによって推進されることが望ましいと思う。

 そうならなければ、数多くのクリントン反対勢力が結集して、クリントンの外交政策を破壊しようとするだろう。

 私が98年8月のリークに対し、言及しなかった事実が一つある。それは米国の情報機関が地下施設の存在について6年前から知っていながら、ニューヨーク・タイムズにあたかも新情報であるかのように流したということである。

 クリントンを嫌っている人間は多く、そのうち相当数が国家機関で勤務している。

 さらに大きな問題は朝鮮問題と関連した政府機関のすべてが外交派と強硬派の対立によって、円満な対北関係を追求できていない点だ。

 今、4者会談が行われているが、この会談は54年のジュネーブ協商(休戦協定に基づく共和国と国連軍の協商)以後、平和協商を初めて推進するものだ。