力合わせて学校を支えよう/西東京青商会が安聖友チャリティーマジックショー主催
地域社会活性化の 「起爆剤」 にも
西東京第1,2児童生徒招待、収益を寄与
人の胴体が真二つになったり、宙に浮いたり…、マジックの不思議な世界に子供たちは完全に引き込まれ、歓声をあげていた。5月30日、東京・立川市で開かれた西東京朝鮮第1、第2の両初中級学校支援のチャリティー公演「子供たちの輝かしい未来のために―安聖友マジックショー・イン・西東京」。招待された両校の児童生徒と教職員、チャリティーに賛同してチケットを購入した地域同胞と日本市民ら1100余人が訪れた。3年前の結成以来、「地域同胞社会」にこだわってきた西東京青商会が、民族教育の発展に直接寄与できないかと企画し、半年間にわたって準備してきた。チャリティーの収益金は両校に寄付される。(慧)
歴史伝えるビデオも
マジックショーは、この企画の趣旨を伝える7分のビデオ上映で始まった。西東京地域での民族教育の歴史を紹介したビデオには、西東京第1、第2両校の創立当時の様子や校舎建て替えのために汗を流す同胞たちの姿、地域同胞で賑わう運動会の様子などが次々と映し出された。
続いて大阪朝高卒業後、世界で活躍するマジシャンの安聖友さんが登場した。「同胞の子供たちの前でマジックをやる時が一番うれしい」。そう話しながら安さんが次々と多彩なマジックを披露する度に、子供たちは目を白黒。安さんは客席にいる子供たちをどんどん舞台にあげる。最後には、安さんが入った箱がゆっくり宙に浮いていったかと思うと、突然客席の後方から登場するという大技で、子供たちを驚かせた。
主催者あいさつまでマジック絡み。ショーの途中、黒い幕の中から突然現れた西東京青商会の金栄浩会長(41)は、「トンムたちのハラボジ、ハルモニの思いを継いで、学校を支えていくために力を尽くしたい」とあいさつした。
民族教育の重要性
西東京の同胞の間では近年、民族教育を発展させるための運動が活発だ。日本市民に朝鮮学校を広く知ってもらおうとバザーを開いたり、助成の実施を求めて行政当局へ度々要請にも訪れた。学校の厳しい財政を支援する1口1000円の「愛校1口運動」も幅広く行われている。在日朝鮮人としての民族的アイデンティティを育む朝鮮学校を守りたいとの切実な思いからだ。
青商会では、地域同胞のこうした思いを汲み、実質的に学校を助けるためのイベントとしてチャリティーマジックショーを企画。昨冬、実行委員会を結成した。実行委では、1人でも多くの会員を参加させるため、南部、中部、町田、東部の各地域青商会ごとに準備を推し進めるようにした。会員自らが幅広い同胞たちに、チャリティーショーの趣旨―民族教育の重要性を直接説いて回ることが重要だと考えたからだ。
今後も歩み止めず
実行委では、民族教育への関心を高めるためには、民族教育が今後も重要であることを若い世代の同胞を中心に広く知らせ、地域同胞社会への愛着を育む必要があると考え、オープニングで西東京地域の民族教育の歩みを紹介するビデオを上映することにした。「今の保護者はほとんど3世。同胞たちがどうやって学校を作り、守ってきたかを知らない人も多い」(李聖哲幹事、37)からだ。
さらに、マジックショーの準備と並行して西東京同胞情報誌「ウリトンネ」の創刊も準備し、ショーの当日、出来立ての創刊号を会場に置いた。同胞のお店と企業、地域の文化・スポーツサークルを紹介、人物インタビューや座談会なども盛り込んだ「ウリトンネ」は瞬く間になくなった。
ショーの終了後、金栄浩会長は「1回のイベントで学校が抱える難しい問題がすべて解消されるわけではない。しかし今日会場に来た人たちは、子供たちの笑顔に民族教育の明るい未来を感じたはず」と語った。
準備期間中、実行委員らが口々に強調していたのは、このイベントを地域同胞社会の活性化を促す「起爆剤」にしようということだった。町田青商会の朴成大会長(42)は、「大切なのは、今後もこうした活動の歩みを止めないこと。これからも学校の実情を見つめ、同胞の力を集めるための活動を続けていきたい」と話していた。