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視点


 ユーゴスラビア問題が平和解決へと向かっている。ユーゴ側が3日、米・欧・ロシアの和平案を受け入れたからだ。
 これによって、ユーゴ部隊がコソボ自治州から全面撤退、3月24日から10週間以上も続いてきた米国主導の北大西洋条約機構(NATO)の空爆も停止される見通しだ。

 そもそもNATOがユーゴの内政問題であるコソボ問題に介入し、国連の決議も経ずに空爆を行ったことで何がもたらされたのか。

 コソボ州南部爆撃で80人以上の住民が死亡したのをはじめ、列車の誤爆などで多数のユーゴ市民が犠牲となり、数十万人にのぼる大量のアルバニア系難民が流出した。果ては、中国大使館までもが誤爆を受け、多数の死傷者が出た。

 NATOが「人道主義」を理由に掲げた空爆は、逆に人道主義を破壊することにつながったと言える。にもかかわらずユーゴ軍が「検証可能な形」でコソボ撤退を始めるまで空爆を続ける方針をとるNATO側は、ユーゴの和平案正式受諾後も空爆を続けている。

 とは言え、今回ユーゴ情勢が和平に向けて動き出したことは評価したい。共和国外務省スポークスマンは4日、「コソボ問題の平和的解決を願う世界の進歩的人類と共にユーゴ人民に支持と連帯を送る」と語った。

 今回、世界の人々は武力によっては何も解決しないことを実感したはずだ。ユーゴの一般市民が1日も早く平和な生活に戻れるよう願う。(聖)