ここが知りたい Q&A/ペリー米大統領特使訪問とその結果は
共和国の政策に深い理解/関係拡大を示唆、新たな局面を
Q ペリー米大統領特使一行が訪朝(5月25〜28日)したが。
A 朝鮮中央通信によると、両国の関係問題などについて意見交換を行うために訪朝した。大統領特使の訪朝は初めて。国務省大使と国家安全保障会議の上級局長、国防総省の将官らが同行した。
滞在中、金永南最高人民会議常任委員長をはじめ党と政府、軍の要人らが会った。これは幅広い対話が行われたことを示唆している。
Q どのようなことが話し合われたのか。
A 姜錫柱外務省第1副相との会談は3日間行われたが、かなり突っ込んだ話が交わされたと思われる。朝鮮中央通信によると、会談では(1)朝米懸案問題(2)アジア太平洋地域での平和と安全保障で提起される問題などが深く論議された。
詳細は明らかにされていないが、「朝米懸案問題」としては、まず政治・経済関係の正常化のためのプロセスを明記した基本合意文(94年10月調印)の履行問題のほか、金倉里の地下施設、ミサイル、米兵遺骨共同発掘作業などがある。
「アジア太平洋地域での安保問題」では、共和国が4者会談などで求めている駐南朝鮮米軍の撤退、朝米平和協定締結などがあり、朝米以外の問題も対象になったと思われる。
Q 会談では双方の立場を説明したというが。
A 米国側は、対北政策見直しの内容と関連した問題を通報した。報道などを総合すると、それはいわゆる包括的アプローチで、対話と「抑止」を基軸に、・「核・ミサイル」問題での前向きな対応を求める一方、米国が経済支援や関係正常化を進めることを柱に据えていると伝えられる。
一方、共和国側は、朝米関係問題と関連した朝鮮労働党と共和国政府の一貫した原則的立場を全面的に明らかにしながら、朝米関係を改善させるには、米国が共和国側との既存の合意に沿って(1)共和国の制度と自主権を認め(2)共和国と平等に接し(3)対朝鮮敵視政策を根本から撤回しなければならないと強調した。
相互尊重、内政不干渉などをうたった朝米共同声明(93年6月)を再確認し、「同時行動方式」によって敵対関係を解消、関係を正常化していくことを約束した朝米基本合意文を履行せよとのことだ。米国が経済制裁など対北敵視政策を継続しており、合意文はまともに履行されていない。
しかし米国側は会談を通じて、共和国の政策と一心団結した朝鮮人民の自負心と強い意思に対し深い理解を抱くようになったと述べている。
Q 朝米関係は今後どう動くのか。
A ペリー特使は訪朝後、「米国歴代の最高の代表団に対して、北は温かく迎え、最高のもてなしをしてくれた」と評価した。
また特使は、訪朝結果を基に6月中にも、対朝鮮政策見直しのための報告書をまとめクリントン大統領に提出する予定だ。5月29日のソウルでの記者会見で訪朝の目的は達成できたとし、「米朝の関係拡大は(調整官になってからの)6ヵ月間、検討してきた」と述べ、報告書に関係改善への道筋を盛り込むことを明らかにしている(朝日新聞5月31日付)。報告を機に朝鮮半島情勢は新たな局面に入るだろう。