ここが知りたい Q&A/南の「ミンクコート疑惑」とは
閣僚、検察、財界の婦人らが裏工作/法相を就任後わずか16日で更迭
Q 南朝鮮の政界スキャンダルが波紋を呼んでいるが。
A 「高級服ロビー疑惑」のことだ。金大中「政権」の閣僚、検察総長、財閥会長の夫人らが絡んだ疑惑で、内閣改造人事が発表された5月24日に発覚、南のマスコミも連日トップで報じている。金大中「政権」下では初めての不正疑惑であり、閣僚夫人らの裏工作の実態が明らかになったことで、市民から非難の声が続出。
今月8日には、夫人が疑惑に深く関わったとされる法務部長官(前検察総長)の金泰政が、就任16日目でスピード更迭されるまでに至っている。
Q 疑惑のあらましは。
A 汚職容疑で今年2月に逮捕された新東亜グループ会長、崔淳永夫人の李馨子が昨年12月、当時の検察総長、金泰政夫人の延貞姫に2400万ウォン(約240万円)相当のミンクコートを送って代金を立て替え、見返りとして捜査の中止を進言するよう求めたというものだ。李馨子に贈賄の話を持ち掛けたのは当時の統一部長官、康仁徳夫人の「貞淑。それだけでなく、「貞淑自身もコートを受け取って代金を李馨子に支払わせたという。李馨子がマスコミに「延貞姫にワイロを要求された」と告発したことで発覚したのだが、彼女らは仲介役を買った事実、贈賄の事実、コートを受け取った事実を、それぞれ全面否定。捜査の結果、「収賄の事実はなく、非は「貞淑と李馨子にある。延貞姫はむしろ被害者なのでおとがめなし」となった。
Q 法務部長官の更迭に至った理由は。
A 金泰政については、当初から「疑惑の渦中にいる者が捜査を指揮するのはおかしい」として、公正・中立性を保つためにも辞任すべきとの声が根強かった。そこへ、夫人の延貞姫をおとがめなしとする捜査結果が出たことで「市民の怒りを無視している」と非難が殺到し、経済正義実践市民連合などの市民団体が更迭を求める署名運動を始めるに至った。「クリーンな政治」をうたってきた金大中「政権」としては、これほど騒ぎが拡大したにもかかわらず金泰政を留任させ、市民の反「政府」感情を買っては、自身にまで非難の矢が向けられる恐れがある。表向きは「部下の失言に対する監督不行届」と発表されたが、実際には市民の声に押され、事態の収拾と「政権」維持のために金泰政に一連の疑惑の責任を取らせたと言える。
Q 更迭の理由とされる「失言」とは。
A 最高検の公安部長、秦炯九の7日の発言だ。忠清南道・大田高検検事長への昇進内定を祝う昼食会の席上、造幣所の統廃合に抗議して昨年7月から半年間行われた「韓国造幣公社」労働組合のゼネストについて「構造調整に反対するゼネストは徹底弾圧するという他労組への見せしめとして、社長と共謀して工場を閉鎖、ゼネストを誘導した」と語ったものだ。秦炯九は「酔った勢いの失言」と釈明したが、波紋が大きすぎ、8日に解任、昇進内定も取り消された。金大中の野党時代からの「味方」である労組も「一方的な構造調整強行への抵抗をつぶす公安の陰謀を、当事者が暴露した」と怒り心頭で、全国民主労働組合総連盟と「韓国労働組合総連盟」が、反「政府」闘争で徹底追及すると宣言している。