インターハイ出場決定の大阪朝高サッカー部、選手代表ら総聯中央を訪問
インターハイの大阪府予選で優勝し、団体競技では朝高として初めて「全国」出場を決めた大阪朝鮮高級学校サッカー部。各地の同胞や日本人の間でも大きな反響を呼び、同校に喜びと賞賛の声が寄せられている。9日には、同サッカー部代表らが総聯中央を訪問し、韓徳銖議長から激励を受けた。
韓徳銖議長が激励/祝いの電話、FAX相次ぐ
総聯中央を訪れたのは、同校の金弘輝校長、呉栄哲教務部長(サッカー部長)、金正海監督と金洪周、梁勇基、姜星一の選手代表3人。韓議長、徐萬述第1副議長、許宗萬責任副議長と各副議長らが一行を迎えた。
選手らは、「全国大会出場だけで満足せず、良い試合をできるよう練習に励みたい」と力強く語った。
韓議長は、府下に1つしかない朝高が日本学校をすべて退けて優勝し代表になったことで、大阪だけでなくすべての在日同胞、ひいては祖国の人々にも民族の誇りを感じさせたとして、今回の快挙を賞賛。全国大会でも活躍し、またこうして会える日を楽しみにしていると語った。
一方、8日には平壌6月9日龍北高等中学校をはじめ共和国の10の学校の連名による祝電が、大阪朝高に寄せられた。
また、在日同胞と日本人からも、祝いの電話やファクスが絶え間なく届いた。
在日朝鮮蹴球団の祝電は、「すべての同胞サッカーファン、すべての在日同胞の誇り。この快挙が、私たちに与えた喜びと感動は計り知れないものがある」と、手放しの喜びようだ。
インターハイの開催地となる岩手県の同胞からも、いち早く祝賀のメッセージが届いた。岩手県では昨年春、全国高等学校ボクシング選抜大会が行われたが、ここでも大阪朝高の選手が優勝。朝高選手として初めて日本の頂点に立った。
総聯岩手県本部の崔成守組織部長は、「あの時の感動は今も忘れていない。県下に同胞は多くないが、選手や応援の同胞らを温かく迎えたい」と話している。
また、千葉県在住の日本人女性は電話で、「日朝関係が悪くなるたびに朝鮮学校をねらった事件が起き、残念に思っていた。そういう差別に負けず、こんな大きな成果をあげたことはすごい」と語った。
「在米僑胞にも力与える」
訪日中のスタンフォード大教授、同校訪れ5万ドル寄付
在米僑胞でスタンフォード大学教授の李鐘文氏と夫人が10日、大阪朝高を訪問した。コンピューター関連企業の経営者でもある同教授は、日本の通産省との折衝のために訪日中、京都に向かう新幹線の中で大阪朝高の優勝を知ったという。
李教授は「大都市の大阪で代表になるとは、民族の誇りだ。200万人の在米僑胞にも大きな力を与えてくれるだろう」と、選手らを祝福、激励した。そして、クラブ活動の足しにと、学校に5万ドル(約600万円)を寄付した。
後に続く活躍期待
小沼貞雄(帝京高校監督)
大阪朝高サッカー部がインターハイ出場を決め、朝鮮同胞のみなさん、サッカー関係者のみなさんの悲願がひとつ達成されたことを心から祝福したい。朝高のインターハイ参加の道が開かれたのは94年だが、私としては、お隣りの東京朝高が2〜3年で全国大会に出てくると思っていた。大阪朝高が先に出てきたのには若干、驚いたが、やはり良かった。帝京と、35年以上も交流している東京朝高もあと一歩だ。大阪に先を越されたプレッシャーを力に変えて、近い将来、大阪に続いてくれるものと確信している。
日本の高校に良い刺激
松沢隆司(鹿児島実業総監督)
かつて日本最強だった在日朝鮮蹴球団、「赤い稲妻」と称された共和国代表など、朝鮮サッカーには「怖いほどの強さ」のイメージがある。その遺伝子が、朝高サッカーに脈々と受け継がれてきたことが、大阪朝高の快挙で証明された。日本サッカーもいい水準に到達したが、これ以上はなかなか難しい。闘争本能やハングリー精神が足りないからだ。在日朝鮮人は異国での苦しみにも真っ向から勝負し、己に打ち勝ってきた。今回の快挙が日本の子供達にも刺激を与え、高校サッカーの水準を底上げしてくれると思う。
素晴らしい、画期的
小嶺忠敏(国見高校監督)
大阪朝高の出場により、インターハイが国際大会になるのは素晴らしい。在日朝鮮人だけでなく、高体連にとっても画期的だ。
サッカーは、ボール一つで民族や国境を超えてたたかい、仲間意識を持てる。日朝の同年代の子供たちが力と技をぶつけあい、学び合う今大会を突破口にして、両国が1日も早く国交正常化して欲しい。日中関係正常化の突破口を開いたのはピンポン外交だった。インターハイがそうなれば、高体連の果たした役割の意義も大きい。(以上、談、文責編集部)