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時事・解説/非転向長期囚の近況と獄中生活


条件付きの送還は願わない

70余人が南に、北の家族との生活望む

 南には北出身の金仁瑞(74)、金永泰(69)、咸世煥(69)氏をはじめ、70余人の非転向長期囚がいるとされる。彼らは一様に、家族の住む北への早期送還を切実に待ち望んでいる。30年以上にわたって獄中生活を強いられ、「3・1節特別赦免」によって2月25日に釈放された17人の非転向長期囚の出身地は、南が12人で北が5人。だが、南出身者のほとんどが朝鮮戦争中に北で結婚し、夫人や子供などの肉親が北にいる。すでに釈放された金仁瑞氏ら3人も北出身で、肉親も北で暮らしている。南の雑誌などで伝えられる彼らの近況、また獄中生活における苦労などを紹介する。

 

世界最長の42年間

 「3・1特赦」で釈放された17人の非転向長期囚の獄中生活の合計年数は550年。彼らは30年以上も獄中生活を強いられたが、釈放後も保安観察法によって監視と統制下に置かれている。しかも家族はすべて北にいるので、孤独な生活を強いられている。

 安ヨンギ(70)、金ウンファン(69)の両氏は、93年に出所した非転向長期囚が営むソウル市内の中古品店「漢白万物商」で働いている。 「漢白」とは南の漢拏山と北の白頭山の頭文字をとったもので、統一を願う意味が込められている。

 それでも職に付けた2人はよいが、元朝鮮人民軍兵士で世界最長の42年間投獄されていた禹ヨンガク(71)氏をはじめ、朴クァンギュ(70)、金イクチン(70)、梁ジョンホ(68)、張ビョンラク(65)氏らは、高齢のため仕事に付くことができずにいる。彼らは一様に、家族のもとで暮らすことを望んでいるのだ。

 

余生を統一運動に

 自らの思想と良心を守るために、30年以上もわずか0.75坪(1畳半)の監獄の中で耐えてきた彼らの獄中生活は、並大抵のものではなかった。

 金チャンウォン(66)さんは、獄中で最も悲しかった出来事についてこう語る。

 「死に対する恐怖、空腹のつらさではない。心と血と生涯を共にした同志が、拷問に勝てず世を去ったことだ」

 また禹ヨンガク、金イクチン氏らも、「獄中生活はみな同じ。とくに70年代初〜80年代末が最も厳しかった。多くの同僚が病死した。自ら死を選んだ人もいる」と一様に話す。

 一方、梁フィチョル(65)氏は73年、拷問で10回以上も気を失ったと証言する。拷問を受け、このまま「死んでしまえば」と何度も考えたという。

 獄中で急性肺炎にかかった朴クァンギュ氏。非転向を貫いているとの理由で入院どころか治療すら受けられなかった。

 このような過酷な獄中生活を通じて、彼らの肉体は極度に弱まっており、拷問による様々な後遺症に悩まされている。

 一方、彼らは自らの北への送還問題について、一様に「条件付きの送還は願わない。人道主義に何の条件が必要なのか。故郷、家族に対する愛情なしに、祖国愛がありえるか」と、故郷に帰りたい気持ちを述べながら、「余生を統一運動に捧げたい」と話している。

 

非転向長期囚の送還求める

朝鮮人権研究協会の談話

 朝鮮人権研究協会スポークスマンは10日、非転向長期囚の送還を阻んでいる南朝鮮当局の非人道的な行為を非難する談話を発表し、次のように主張した。

 南朝鮮には今、金仁瑞、金永泰、咸世煥の諸氏をはじめ70余人の非転向長期囚がいる。

 非転向長期囚は、国際法と世界人権宣言の要求、本人の希望に応じて当然共和国に送還されるべき人たちである。

 しかし南朝鮮当局者は「国軍捕虜」「拉致者」との「交換」について騒ぎ立てている。

 これは非転向長期囚の北への送還を阻み、純粋な人道問題を政治的に悪用して共和国を中傷するための策動だ。

 共和国には、南朝鮮当局の言う「拉致者」や「国軍捕虜」は1人もいない。

 朝鮮戦争時、米国の雇用兵暮らしをけって人民軍に志願編入し、敵とたたかった人、自ら共和国に義挙した人々がいるだけだ。

 われわれは、南朝鮮当局が共和国出身者はもとより、南朝鮮出身者であっても家族が北にいたり、北に来ることを願うすべての非転向長期囚を、無条件で北に送還することを強く促す。 (朝鮮通信)