視点
日本の飛鳥時代の文化が朝鮮半島の影響を強く受けていたことを示す重要な発見が奈良であった。県立橿原考古学研究所が14日、飛鳥時代の大規模な園池跡が明日香村で出土したと発表したことだ。
飛鳥京の宮廷庭園である可能性が極めて高い。これまで見付かっている宮廷庭園は奈良時代のものが最古だが、飛鳥京庭園跡はさらに数十年さかのぼるという。池は数千平方メートルの広さで、底に石が敷き詰められ、流水装置や、池に突き出た涼み床が設けられていた。「日本庭園のルーツを考えるうえで画期的な発見」(上田正昭・京都大名誉教授)と評価されている。
飛鳥京庭園跡は、石積みで護岸をした「方形池」で、これは百済から伝わったとされる。さらに新羅の代表的な庭園遺構である雁鴨池(南朝鮮・慶州市)との類似性も指摘されている。
明日香村では昨年3月、キトラ古墳の調査が超小型カメラで行われ、天体の運行線が描かれた「星宿」(星座)や四神の一つ「白虎」などが発見され、1972年の高松塚古墳以来の極彩色の古墳壁画の発見と話題となった。
高松塚古墳壁画は高句麗古墳壁画を手本に描かれたものとの見方が一般的だ。またキトラ古墳の被葬者は「渡来系の王族、百済王善光、昌成の親子」などとも言われている。
明日香村はまるで考古学の「宝庫」だが、その貴重な存在は朝鮮半島の影響を抜きにしては考えられない。(喜)