新報社、青年社の新作絵本
可愛いイラストで言葉の勉強
「ウリマル図鑑(1)」/洪永佑著
本社発行の生活情報誌「イオ」で創刊号から好評連載中の「ウリマル図鑑」が絵本になった。
全32ページでオールカラー。カラフルで可愛いイラストで、動物や物、人の呼び名などの朝鮮語が覚えられるという優れ物だ。
2ページ見開きで1つの項目。これまでの連載のうち、「うみとかわのいきもの」「とりのなかま」「むしのなかま」「やさいとくだもの」「どうぶつ」「はなとくさ」「がっき」「のりもの(1)」「同(2)」「みのまわりのしなもの(1)」「同(2)」「同(3)」「すぽーつ」「かぞく・しんせき(1)」「同(2)」が掲載されている。
すべての単語にはイラストとともに読み方(カタカナ)、日本語の意味(ひらがな)が明記されている。子供から大人まで、一目で分かる作りだ。対象が「物」の場合には、妖精のようなキャラクターや動物を登場させるなど、楽しませる工夫が凝らされている。
幼稚園や各級学校、また家庭で、子どもたちが楽しみながら朝鮮語を学ぶのにうってつけ。日本の学校に通う同胞児童、青年たちのための青年学校や土曜児童教室などの教材にも最適だ。
朝鮮語に堪能な人でも、動植物や物の名前は意外と知らないもの。そんな大人にもお勧め。
朝鮮語を知っている人も知らない人も、ぜひ手元においておきたい1冊だ。
イラストを手がけているのは、民俗的なタッチを生かした民画や劇画、数々の絵本や挿絵で知られる洪永佑氏。
定価=1500円、発行=朝鮮新報社 TEL 03−3269−0133(経営局出版普及部)
「故郷」と出会うファンタジー
「たんぽぽのはらで」/李友子・文、姜孝美・絵
先日、創立40周年を迎えた朝鮮青年社から発行された「たんぽぽのはらで」(文・李友子、絵・姜孝美)は、瑞々しい感性溢れる創作絵本。
文を担当した李さんは2世。1世のアボジに育てられる過程で、物心ついた頃から、故郷への憧れを自然と抱くようになったという。「日本に育つ在日の子供たちが、いつまでも変わらぬ姿で、『黄色いたんぽぽ』として、故郷に根っこを持った朝鮮の子として、美しく強く咲いてくれますように」という願いを込めたストーリーだ。
…ちいくんが、ハラボジとお散歩に行ったタンポポいっぱいの野原で出会った「たんぽぽくん」。パジチョゴリのような服を来た彼は、ハラボジの昔の姿。手をつないで虹の橋で海を渡り、タンポポの葉っぱを摘む。
たんぽぽくんは言う。
「ぴりっとあじのきいたたれでね、こうやっててでぎゅっぎゅっとまぜると、はるのにおいがするおかずができるんだ」
そしてふーっ。空に飛んで行く白い綿毛。
「たんぽぽってね、どんなにとおくへとんだって、あかやピンクなんかじゃない、ちゃんときいろいはなをさかせるんだよ」
「いたっ」。つまづいたちいくんの前にいたのはたんぽぽくんではなくハラボジ。ハラボジはうたたねしていて、故郷の夢を見ていたという…。
絵を担当したのは各方面で活躍している新進イラストレーター、姜孝美さんだ。
今や絵本を手に取る世代の子供たちは4世、5世。子供たちの心の中に、はるか遠い「故郷」がそっと舞い降りてくるような絵本だ。
定価=1500円+税、発行=朝鮮青年社 TEL 03−3813−2291