本の紹介/子どもの権利条約のこれから 子どもの権利連・反差別国際運動日本委員会編
サブタイトルは「国連・子どもの権利委員会の勧告を生かす」。本書は昨年6月、同委員会が「子どもの権利条約」に基づく日本政府の第1回報告書審査の結果出した総括所見を、日本国内でフォローアップしていく際の材料を提供するためにまとめられた。
第1章で審査および総括所見についての評価と位置づけを明らかにし、第2章では総括所見で表明された「懸念」とそれに対応した「勧告」について、過去の諸外国への総括所見とも比較しつつ解説し、日本で今後取られるべき措置を提起している。
第3章は1日半にわたり行われた日本政府報告書審査の速記録をすべて収録した。
昨年6月の総括所見は、朝鮮学校生徒の大学受験資格差別問題に「懸念」を表明、朝鮮人をはじめマイノリティ(少数者)の子供たちへのあらゆる差別状況を調査、改善するよう「勧告」し、朝鮮学校を制度的に差別する日本政府の不当性と、在日同胞のたたかいの正当性を証明した。
したがって本書も、朝鮮学校と在日同胞の子どもたちの問題について項目を割いており、委員会の審査を傍聴した「民族学校出身者の受験資格を求める全国連絡協議会」の文鐘聲代表(大阪大学3年)のコメントも掲載されている。
日本の第2回政府報告書提出期限は2001年5月。「子どもの権利条約」を基準に、朝鮮学校差別の解消を日本政府に迫っていくうえで活用すべき資料だ。
定価=1714円+税、発行=エイデル研究所、TEL
03−3234−4641