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共和国の経済戦略(下)2つの要

食糧とエネルギーを優先


全国家的な力注ぐ

 共和国は近年、食糧問題とエネルギー問題の解決に力を入れている。何故なら、この2つが経済活性化をもたらすうえで要となるからだ。

 エネルギーが不足すれば工場や機械が稼働せず物が生産できない。また、食糧不足は人々の働く意欲を阻害し、やはり正常な生産に支障を来す。

 社会主義市場の喪失や自然災害などが重なり、共和国が食糧、エネルギー、外貨不足に陥ったことは周知の事実だ。例えば、食糧を見ると、共和国の年間需要783万9000トンに対し、96年の生産量は250万2000トン(97年2月、水害対策委発表)、97年は同268万5000トン(98年3月、水害対策委発表)、98年は同283万トン(平壌タイムズ98年11月7日付)となっている。

 労働新聞など3紙の今年元旦の共同社説は、「農業に全国家的力を注ぎ食糧問題を解決しなければならない」、「電力と石炭(=エネルギー問題)は経済の生命線である」などと指摘している。

 

生産阻害の現象正す

 労働新聞5月21日付によると、金正日総書記が示した農業政策が最近明らかになった。

 その内容は、@適地適作、適期適作の原則で農業構造を改善してジャガイモを増産A2毛作を推進して品種改良B土地整理事業を展開し農業の総合的機械化実現C草食家畜の大々的飼育――である。

 95年から毎年元旦に発表されている共同社説を見ると、その年の農業戦略は次のようになっている。

 95年 チュチェ農法の貫徹。
 96年 @チュチェ農法の要求どおり主人意識を持って科学技術的に営農A穀物生産で画期的転換。
 97年 @農業の主人である農民の志向と実情に合わせて科学技術的に営農A牧草地を造成し草食家畜の飼育事業を大衆運動として展開。
 98年 @品種改良A2毛作推進Bすべての農作業を農民の意思と実情に合わせチュチェ農法の要求どおり展開C草食家畜を基本に畜産業発展。
 99年 @ジャガイモ農業革命、適地適作・適期適作の原則で農業構造改善A2毛作推進B品種改良C土地整理事業の推進。

 こう見ると、総書記の農業政策に反映されたすべての問題が網羅されている。ここ数年、総書記自ら農業の実態を把握する過程で示した方針であることを裏付けるものだ。

 実際、公式に報道されただけでも、98年10月に両江道大紅湍郡を訪れジャガイモ増産のための指導を行ったほか、今年2月、3月、5月、6月の4回にわたって土地整理事業が活発に行われている江原道を指導している。土地整理事業はジャガイモ栽培面積を増やすための対策で、江原道での経験は全国のモデルとなる。

 ここで注目されるのは、97年から農業を農民の意思と実情に合わせて行うことが強調されている点だ。

 今年2月24日、「わが国社会主義農村問題に関するテーゼ」発表35周年記念中央報告会が行われた。洪成南総理は報告で、「総書記は近年、農業の実態を深く把握し、チュチェ農法は農民の意思とその実情に合わせて農業を営む科学農法だと明らかにし、チュチェ農法を歪曲して執行し農業生産を阻害してきた現象を正した」と述べた。つまり、農業について誰よりもよく知っている農民の意思に沿って農業を営むことが、チュチェ農法の要求なのである。

 

電力需要円滑に保障

 エネルギー問題解決の方途としては、@大規模発電所の建設A中小型発電所の建設――が上げられる。

 中小型発電所の建設が課題として上ったのは昨年からだ。

 97年の共同社説では「電力需要の円滑な保障」が提起された。この方針に沿って、地の利を生かして中小型発電所を建設し、道内の電力問題を解決したのが慈江道だ。総書記が昨年1月16〜21日、慈江道を現地指導した際、最も評価したのが労働者が自力で作り上げた中小型発電所の発電機を見た時だった。総書記の指導は慈江道の模範を一般化する意味があったが、実際、中小型発電所は昨年まで全国的に5000建てられた。

 慈江道では最近まで332個の中小型発電所を建設した。

 一方、今年建設対象となっている大規模発電所としては、江原道の安辺青年発電所(第2段階)、平安北道の泰川発電所、慈江道の松源ダム(第2段階)と興州発電所など10余ヵ所ある。(聖)