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99上半期の共和国(1)/経済(上)

国家予算編成し計画法を採択/食糧問題解決に全力


 昨年9月の最高人民会議第10期第1回会議で金正日総書記が「国家の最高職責」である国防委員会委員長に推戴され、名実共に党と国家、軍の最高位に就いたことで、金正日時代がスタートした。国家の新体制整備後初めて迎えた今年元旦の共同社説では、国家体制が政治・軍事的に強化された条件のもとで、経済建設により多くの力を注いでいくことを強調した。政治面では3月7日に道(直轄市)、市(区域)、郡人民会議代議員選挙が行われ、2万9442人を選出、地方主権機関を新たに構成し、国家機構体系を末端まで完備した。外交では金永南最高人民会議常任委員会委員長を団長とする国家代表団の訪中(6月3〜7日)、ペリー米大統領特使の訪朝(5月25〜28日)などがあった。統一では2月3日に南北高位級政治会談を提案。また6月22日から北京では南北副相級会談が1年4ヵ月ぶりに開催された。上半期共和国の経済、外交、統一問題についてふり返る。(基)

 

5年ぶりの審議

 近年、(1)ソ連・東欧社会主義崩壊による貿易市場の70%喪失(2)94〜97年までの自然災害(3)「核疑惑」を口実にした体制抹殺の国際的圧力――などによって、共和国経済はかつてない困難な状況に陥っていたが、今は復興に向けて歩み始めている。

 4月7〜9日に開かれた最高人民会議第10期第2回会議は国家活動、とりわけ経済活動が正常化に向けて歩み出したことを示したものだったと言える。

 昨年の予算決算をし、今年の予算を編成するとともに、人民経済計画法が採択されたからだ。最高人民会議で国家予算を審議したのは94年以来、5年ぶり。内容を見ると、とくに電力工業と農業に最大の比重があてられている。農業に対する投資は食糧問題を決定的に解決するために昨年比11%増で、電力工業部門に対する投資は同15%増となっている。

 また人民経済計画法は、従来の計画化論理・方針・体系などに照らして大きな変化は見られないが、共和国の経済が生産手段の社会主義的所有に基づく計画経済であることを法制化した意義は大きい。

 

農村の機械化へ

 今年の国家予算で最大の比重があてられた農業問題。共和国では、元旦の共同社説で「農業に全国家的な力を注ぎ食糧問題を解決しなければならない」と指摘した後、増産対策を討議した全国農業部門活動家熱誠者会議(1月14、15日)、金日成主席の労作「わが国社会主義農村問題に関するテーゼ」発表35周年記念中央報告会(2月24日)が開かれるなど、力の入れようがうかがえる。

 また農業問題で上半期にとくに力が入れられたのが土地整理事業とジャガイモ栽培。

 土地整理事業は江原道で昨年9月から行われ、3月までに3万ヘクタールの土地が農地として生まれ変わった。現在は機械化事業を推し進めている。総書記は2月、3月、5月に続いて6月にも同道を訪れ、土地整理、機械化事業を指導した。土地整理事業はジャガイモなどの栽培面積を増やす対策で、江原道での経験は全国のモデルとなる。

 ジャガイモ栽培だが、栽培面積は今春までに昨年より4万3000ヘクタール増やした。両江道内の協同農場ではヘクタール当たり40トン以上の収穫を目指している。

 一方、労働新聞5月21日付は、総書記が示した農業政策を紹介した。その内容は(1)適地適作、適期適作の原則で農業構造を改善してジャガイモを増産(2)2毛作を推進して品種改良(3)土地整理事業を展開し農業の総合的機械化実現(4)草食家畜の大々的飼育――である。

 下半期もこの政策に沿って農業は推進される。