視点


 最近、ロシアに旅行した知人の話。モスクワのホテルのロビーで上着を椅子にかけ、つい話に熱中していたら財布を抜き取られてしまった。あわててフロントに掛け合ったが、よくあることらしく「現金はあきらめてください」とすげない返事。仕方なくカードの使用停止手続きだけはとったが、泣くに泣けなかったそうだ。

 かと言えば、ホテルの関係者とぐるになった売春婦が部屋の前まで勝手についてくるので、断るのに一苦労したという。外には年金すらもらえない老人たちが物乞いにやってくる。新興成金が増え、貧富の差は広がるばかりだ。貧しい人たちは何をしてでも暮らしていかねばならない。

 モスクワ市内を観光する際にも地元旅行社が何かにつけて法外な値段をふっかける。社会主義時代のモスクワにもよく旅行した知人は、「お金のことしか頭にないようになっている」と嘆いた。

 そのため、社会主義の時の方が平等でまだよかったとの声が多く聞かれるという。それを反映してか、共産党が議会内で勢力を伸ばしている。

 ソ連・東欧の社会主義崩壊でもたらされたのが貧富の差の拡大とは嘆かわしい。

 7月8日、金日成主席の逝去5周年を迎えた共和国は「最も厳しい試練の時期」を乗り越え、社会主義体制を貫いた。

 5月に訪朝したペリー米大統領特使一行も、共和国の政策と一心団結した朝鮮人民の自負心と強い意思に深い理解を抱いたと、共和国の体制を認めている。(聖)