兵庫県下の商工会、「同胞訪問運動」積極展開/全地域でセミナー
兵庫県下では、6月18日の尼崎東商工会を皮切りに、7月24日(姫路西)まで14の地域商工会すべてが経済・経営、権利、情勢などに関するセミナーを開いている。会員らの資質向上、結束強化を目的に毎年行われているものだが、今年は日本全国で展開中の「4万人同胞商工人訪問運動」に合わせ、例年にも増して力が入っている。県商工会も、5月に建設業者のセミナーを開き、好評を博した。8月には県下で初の飲食業者セミナーを開く予定だ。
西神戸
会員の目線に立った企画/豪雨でも参加者3倍増
西日本一帯が記録的な豪雨に見舞われた6月29日、神戸市でも、観測史上3番目という180ミリの大雨が降った。西神戸商工会ではこの日、昼と夜にセミナー「勝ち残る企業の条件」を予定していたが、地元・長田区など一部地域に避難勧告が出るほどの状況に、「中止もやむなし」との声も出た。
ところが、開始予定時間が近付くと会場の朝銀近畿本店には会員らが次々に集まり、結局、2回で計138人が集まった。金相圭会長(65)は、「こんなに集まるとは正直、驚いたが、会員らの目線に立った企画が当たったのではないか」と話す。
同商工会は、県下でも最大の会員数を擁する。しかしこれまでは、セミナーの集まりはいい方ではなく、参加人数は今回の3〜4分の1程度だった。そこで同商工会の常任理事会では、全国的に「4万人同胞商工人訪問運動」が展開されていることもあり、今回のセミナーを同胞らの目線に立った身近な内容にすることで一致。企画・準備を行ってきた。
セミナーで講師を務めたのは、中小企業倒産者の任意団体「八起会」の会長で、自身も企業倒産の経験がある野口誠一氏。構造的な不況に悩まされるケミカルシューズ業者を中心に、会員らにとって「倒産」は身に迫るテーマだ。
宣伝・勧誘にも力を入れ、役員らはそれぞれ10数人から30人の会員を担当。あとは専従活動家らが精力的に宣伝して回った。
結果、大雨にも関わらず例年を大きく上回る人数が参加した。
倒産の危機に直面した時に問われるのは、経営者の人格であるとする講演内容も好評で、参加できなかった人が後日、「内容を教えて」と事務所を訪ねてきた。金会長は「専従活動家は今までも頑張ってきたし、会員らも何かを求めている。大事なのは双方が噛み合うこと。時代に合ったやり方が必要ではないか」と話していた。
尼崎西
実践的で確かな分析/洗練された魅力ある組織に
「99尼崎西同胞商工人セミナー・われわれの企業権、財産権について」が7日、朝銀近畿尼崎西支店講堂で行われ、総聯兵庫県本部の李文伊委員長をはじめ、尼崎西商工会会員、地元同胞ら218人が参加した。
まず、同商工会の崔春雄会長があいさつし、「日本全国の商工会では4万人訪問運動を力強く展開中だが、経済や政治の情勢が厳しいほど団結が必要だ。商工会はより魅力ある組織になることを目指し、奮闘している」と話した。
セミナーでは、商工連が制作した同胞の企業権・財産権に関するビデオが上映された。
続いて商工連の呉州棟商工部長が、最近の日本経済の動向と、同胞商工人の企業権・財産権を守った歴史について講演した。
呉部長は、「2年続けてマイナス成長に陥った日本経済は、今も再生の糸口を探っている状態だ」と指摘。こうした現状下で収益を上げていくには、価格競争での優位維持や顧客対象の絞り込み、他店との差別化など、明確な経営戦略が必要だと話した。
財産権・企業権に関しては、1949年の「外国人の財産取得に関する政令」適用反対闘争について、「1世は当時、生活の営みすら脅かすこの問題を、生存権と民族の尊厳の問題と認識してたたかい、勝利した」と説明した。
そのうえで呉部長は、「朝連や商工連の先輩たちは、団結して日本政府から成果を勝ち取った。この恩恵に浴していない同胞は1人としていない」と述べ、同胞らが今後も組織のまわりに結束していくことを訴えた。
所々ユーモアを交えた講演は好評で、会場から笑いの声も上がった。
地元の尾崎西商工会の文永碩副会長(57)は、「確かな分析に基づいた実践的な講演だった。今後の商工会や総聯組織は、さらにプロとしての洗練された魅力を備えて欲しい」と話していた。