障害者を理解するための体験学習/群馬初中、東京第5初中で
同胞社会で福祉問題への関心が高まる中、障害者問題に関する体験などを行う朝鮮学校が増えている。6月と7月、群馬朝鮮初中級学校(前橋市)と東京朝鮮第5初中級学校(墨田区)では、初級部高学年を対象にした体験学習を実施した。
車椅子「思ったより難しい」
アイマスク「とっても怖かった」
真剣な子供たち
群馬初中の初級部高学年全児童は7月19日、伊勢崎市の県立身体障害者リハビリテーションセンターで体験学習を行った。
同校がセンターで体験学習を行うのは、3月に続いて2度目。昨年11月、センター職員で、自ら四肢と言語に障害を持つ福祉教育アドバイザー、妹尾信孝さんを招いて講演を行って以来、こうした取り組みを続けている。中級部3年生が参加した前回を踏まえ、障害者への理解を育むには小さい頃からこうした体験をさせた方がよいと、今回は初級部高学年を対象に行うことにした。
この日、バスでセンターを訪れた群馬初中の初級部高学年生たちは3つのグループに分かれ、各グループごとにセンター内各施設を見て回った。交通事故で四肢が不自由になり、口に絵筆をくわえて絵を描く深沢勝美さんが作品を制作する姿を見た子供たちは「なぜ絵を描こうと思ったのですか」などと、真剣な表情で質問していた。
また、指のリハビリとして行われている広告紙でのカゴ作りや、車椅子の乗り方、押し方などを体験した。
「差別」って何だろう
東京第5初中では6月24日、視覚障害者の木村妙子さんをはじめ墨田区内のガイドヘルパー、介助ボランティアら12人を招き、初級部高学年全児童を対象に初めての「ボランティアスクール」を開いた。
林桂○校長(○はさんずいに皓)はその目的について、「日本学校との交流を続けるうちに『差別』ってそもそも何だろうという根源的な問題を突き付けられることになった。在日同胞は日本社会で差別を受ける存在だが、自分たちの中にも例えば障害者を差別する気持ちはないだろうか…。こうした問題をクリアするためには幼いうちからの体験が必要だと思った」と語る。
ボランティア・スクールでは、木村さんの話に続き、2つのグループに分かれてアイマスクと車椅子の体験学習が行われた。2人ペアで、アイマスクをかけた子をもう1人がガイドしながら歩いたり階段を上り下りしたり、椅子に座ったりの動作を行う。車椅子の方も、乗る人と押す人のペアで坂を上ったり段差を超えたり。最初はおろおろしていた子供たちも、指導を受けながら段々と上手になっていった。
体験学習の後のまとめでは、木村さんが、「知らないところを初めて歩く時は不安ではないですか」などの、子供たちの素朴な疑問に答えながら、道やホームの点字ブロック、点字などが視覚障害者にとっていかに重要かを教えていた。
努力ってすばらしい
手足が不自由なのにベッドの上で口と指先を使って絵を描いている渋沢さんには驚きました。素晴らしい絵でした。渋沢さんは事故で体が不自由になった後、ある有名な障害者の画家の絵を見て自分でもできないかと思い、毎日必死に練習し、今では展覧会まで開くそうです。その努力には感動しました。努力って素晴らしいと思います。(李京華、群馬・6年)
勇気出して声かけたい
車椅子に初めて乗りました。乗る前までは、簡単だと思っていましたが、実際に自分の手で車輪を回して前に進もうとすると、まっすぐ行かずカーブしてしまいます。また、車椅子に友達を乗せて押しながら段差のある道を歩いたけど、すごく力がいるし、道から外れそうになりました。汗だくになりながら、車椅子って乗ってる人も押す人も大変だなと思いました。今までは、車椅子に乗った人、押している人を見ても、ただかわいそうだなと思うだけでいかに大変なのかは分かりませんでした。これからは、勇気がいると思うけど、声をかけて助けたいと思います。(李徳冠、群馬・6年)
大変さ、初めて知った
アイマスクをして歩いてみたらとっても怖くて、階段も1段1段ゆっくりとしか上り下りできなくて、目が不自由な人はいつもこんなに怖い思いをしているのだと初めて知りました。こうして私たちと変わらない生活をしていることを知ると、尊敬するというか、すごいとしか言い様がありません。これからは、体が不自由な人たちを差別せずに、できることがあったら助けてあげたいと思います。(安慶恵、東京第5・6年)
普通に同じ人として
色々な障害を持つ人も、普通の人として接して欲しいのだと分かりました。木村さんが私たちのために一生懸命に話してくれているのを見て、とても感動しました。そして、そういう人たちのためなら、何でもできるような気持ちが沸いてきました。これからは、体の不自由な人を見かけたら、声をかけたり、手助けをしたいと思います。(全淳淑、東京第5・6年)