金剛山歌劇団のチャンセナプ奏者崔栄徳さんが初のリサイタル/5日、東京で
共和国の「2・16芸術賞」コンクール(今年2月)で二位に入賞した金剛山歌劇団のチャンセナプ奏者、崔栄徳さん(24)が5日、東京・芝公園のabc会館ホールで初のリサイタルを開く。
共和国で最も権威ある同コンクールには民族楽器、洋楽器、声楽(民族声楽、クラシック)、舞踊の四部門があり、4ヵ月にわたり予選(3次)と本選が行われる。金剛山歌劇団からはこれまでに、舞踊、声楽で6人の入賞者が出ていたが、民族楽器部門では崔さんが初めて。
祖国でトップアーチストと認められた在日同胞音楽界のホープが、どんな演奏を聞かせてくれるか楽しみだ。
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崔さんは1974年、東京生れ。東京朝鮮第8初級学校で民族楽器サークルに入り、10歳でチャンセナプを始めた。
11歳の時に在日朝鮮学生中央芸術大会で金賞を受賞し、優秀作品にも選ばれた。以後5年にわたって金賞を受賞。東京朝鮮中高級学校高級部在学中には、平壌音楽舞踊大学通信教育学部で学び、その後、朝鮮大学校の師範教育学部音楽科を卒業した。
祖国では、「永遠の師」と慕うチャンセナプの大家、チェ・ミョンチョン氏(故人)のもとでも研さんを積んでいる。
2月のコンクールでは、祖国のチョッテ奏者が1位になった。チャンセナプ奏者としては崔さんが「1番」ということになるが、それでも、「1位の奏者の演奏を聞き、自分はまだまだと痛感」。同時に、「頂点を目指して何度でも挑戦しようとの意欲が湧いた」という。
崔さんの演奏は、その類いまれな技巧とともに、祖国の若い奏者にも容易に表現しがたい民族楽器特有の「味わい」を備えていると評される。
「日本で生まれ育った私たちは、かえって民族的な味わいを追求する熱意、渇望が祖国の奏者よりも強いのかもしれない。本物の味を少しずつ自分のものにしていくことの感動は、何にも代え難いものがある」
世代交替が進む中、朝鮮学校で民族楽器サークルの部員が減少するなどの現状があるが、「民族楽器の本当の魅力を若い世代に広く伝えて行きたい」との思いも強い。
リサイタルでは、コンクール受賞曲から「我らの誇り限りなし」「龍江キナリ」などを演奏する。
※リサイタルは午後6時半開演。全席自由で3500円(前売り3000円)。
問い合わせ
金剛山歌劇団 TEL 042−341−6411
チケットぴあ TEL 03−5237−9999
チャンセナプ 約500年前から伝わる朝鮮の代表的な管楽器セナプを改良したもの。その華やかな音色と大きな音量から、数ある朝鮮民族楽器の中でも花形とされている。