時事・解説/どうなる今後の朝米関係


 ジュネーブで第6回4者会談(5〜9日)が始まり、3日には朝米会談が行われた。これに先立ち共和国外務省スポークスマンは7月26日、談話を発表し、朝米関係発展の原則的立場を明らかにした。米国は共和国の核問題やミサイル問題をうんぬんし、朝米基本合意文の履行を遅らせている。合意文が履行されず関係が発展しない理由は米国側にある。(基)

 

脅威は米から

 まず朝米関係が発展しない理由について見る。

 3日の朝米会談で米国は、共和国が「ミサイル再発射」を断念した場合、大統領権限で実施できる対北経済制裁の一部を解除する意向を伝えたという。

 しかしミサイル問題は基本合意文には明記されておらず、経済制裁緩和は基本合意文に明記された履行義務である。つまりミサイル問題と合意文履行問題は全く別問題だ。

 経済制裁緩和の問題は基本合意文で全面解除することがうたわれており共和国は米国に対する一切の経済障壁を撤廃した。米国はミサイル問題を政治カードにしている。

 ミサイル開発について言えば、それは米国の対北孤立・圧殺政策によって共和国が常に脅威を感じているために、自衛のための手段として行わざるを得ない。

 横須賀を母港とする米第7艦隊所属の巡洋艦モービル・ベイなどには、射程1300キロメートルの巡航ミサイル、トマホークが搭載されており、共和国全土を射程圏内におさめている。

 また人工衛星打ち上げについて言えば、それは宇宙の平和開発のための科学研究事業であり、どこの国にもその権利がある。

 

軽水炉提供の義務

 次に「核」問題だが、朝米基本合意文では、共和国が黒鉛減速炉と諸関連施設を凍結する一方、米国は2003年までに200万キロワット発電能力の軽水炉を共和国に提供するとなっている。

 基本合意文には軽水炉の相当な部分が実現された後、核物質冒頭報告書の正確性・完全性を検証することが明記されており、軽水炉建設が一定の段階に至れば、原子力活動の「過去解明」問題も十分に解明できる。また金倉里の「地下核施設疑惑」も、5月の米実務代表団のトンネル参観を通じて非核施設と確認され、共和国が合意文を誠実に履行していることが明らかになった。

 焦点は米国が基本合意文をいかに誠実に履行していくかというところにある。

 

自主権認め関係発展を

 こうして見ると、共和国の原子力活動に対する「透明性保障」の問題=合意文の履行問題、ミサイル問題はともに、すべて米国がどう動くかに掛かっていると言える。

 外務省スポークスマン談話では、米国が朝鮮半島の平和と安全保障に関心があり、共和国との「関係改善」を望むならば(1)敵視政策の表れである経済制裁を全面撤回し(2)反共和国「共助」作りを中止し(3)軍事的脅威を与えない実際の措置を講じる――べきだとし、ひいては(1)南朝鮮からの米軍撤収(2)朝米平和協定締結――などすべての脅威を根源からなくすべきことを主張した。

 後者は4者会談で共和国が一貫して主張しており、前者が進めば容易に受けられる内容だ。

 前者も、3月16日の第4回朝米地下施設協議で双方が再確認した基本合意文と共同声明(93年6月発表、核威嚇行わず制度と自主権を尊重し内政不干渉を明記)の原則を、米国が維持するならば当然、実現されなければならない問題である。

 外務省スポークスマン談話では、米国が合意文を破棄すると言うなら「勝手にするがよい」と主張する一方で、「米国がわれわれの自主権と選択の自由を認めて善意で対するなら、平等と互恵の原則から米国との関係を発展させていく」と共和国の原則的立場を明らかにした。

 この談話で注目されるのは、米国を100年来の宿敵に見なそうとしていない、と指摘している点だ。これは金日成主席の喪明け直後の97年8月4日に発表された金正日総書記の論文の中でも指摘されている。

 さらに談話では、米国が信義を示せば共和国も信義をもって対応するとしており、共和国のメッセージに対して米国がどう対応し、関係発展に務めるかが注目される。