ここが知りたいQ&A/南の与党が「内閣責任制」改憲を留保したが


自民連は猛反発/新党案も浮上、政界再編へ

  南朝鮮の連立与党が年内の内閣責任制改憲を断念したが。

  内閣責任制改憲は現「政権」最大の焦点だったが、金大中「大統領」、金鍾泌「総理」、朴泰俊・自民連総裁が7月21日に会談し、年内改憲を断念することで合意した。金大中は翌日の会見で「経済改革に全力を注ぐため」などと理由を語ったが、自民連から見れば、改憲合意を見返りに国民会議に「大統領」職を譲っただけに、突然の決定に猛反発。連立解消を求める声まで出ている。

  自民連が唱える内閣責任制とは。

  「大統領」に全権が集中する現行の体制を改め、「大統領」のもとの行政運営担当者にすぎなかった「総理」を内政全般を司る最高責任者に格上げする――というものだ。

 両党は、1997年末の「大統領」選挙の際、99年末までに内閣責任制に改憲することを公約に、金大中に候補を一本化し、当時の与党ハンナラ党を下して当選を果たした。しかし、連立与党は「政権」奪取という党利党略でくっ付いた寄合所帯。第1、本来「大統領」制支持の国民会議にとって内閣責任制は受け入れられないもので、公約が守られる保証はない。

 そんな最中、金鍾泌が金龍煥・自民連首席副総裁らに改憲の取り下げを示唆したことが、7月14日付の主要各紙で報じられたことから、保守系改憲強行派が「党の方針に反し、国民会議の主張に迎合するもの」として「反金鍾泌」の姿勢を強めた。党が分裂の危機に至ったことから、与党は事態収拾に向けて改憲問題を再協議し、その結果、留保が確定した。

  改憲断念に至った原因は。

  旧与党を中心に根強い「大統領」制から、未体験の内閣責任制に移行することへの不安から来る「時期尚早論」と、金大中本人も言うように、相次ぐ財閥の危機で改憲どころではないという「経済優先論」が挙げられる。

 一時期の深刻な状態からは脱しつつあるが、三星自動車の倒産で大宇電子との事業交換が白紙化、その大宇グループも自動車部門など数種を残して事実上の解体となるなど、危機に変わりはない。経済不安定に政局不安定が重なれば対外的な信用度も失いかねず、まず政局を安定させるべきとの判断が働いたのだ。

  国民会議の「新党結成構想」も話題を呼んだが。

  国民会議の支持層は全羅道とソウルに限られている。さらに、与党内での相次ぐスキャンダルで支持率も低下していた。来年4月の総選挙を戦うには、イメージ刷新で支持層を広げる必要があった。

 国民会議の当初の構想は、自民連と合党し、ハンナラ党の一部議員や在野勢力も取り込む「巨大与党」構想だった。しかし、自民連は「改憲をうやむやにするもの」と反発し、合党を否定。ハンナラ党も、趙淳名誉総裁らビッグネームが「引き抜き予定者」と報じられ、「野党つぶし」と猛反発した。これで合党の線は消え、まず単独で8月中に新党へ衣替えとなった。自民連は一連の騒ぎで国民会議への不信感を募らせており、連立の求心力に綻びが出ている。一方、野党はこれを機に、巻き返しを図る構えだ。今後は新党がどう構成されるかを軸に、政界再編が進むことになる。