朝高生がインターハイで初の金メダル/重量挙げで北海道・朴徳貴選手


他を圧倒し最大タイトル獲得/2冠達成も

 北海道朝鮮初中高級学校の朴徳貴(高2)が、5日に岩手県の江刺市西体育館で行われた全国高等学校総合体育大会(インターハイ)・第46回全国高等学校ウェイトリフティング競技選手権大会の94キロ級のトータルとジャークで優勝。スナッチでは3位に入った。3月の全国高校選抜でも優勝している朴は、これで高校タイトル2冠となった。インターハイ優勝と2冠達成は、いずれも朝高生で初。朝高が1994年にインターハイ参加が認められて以来、すべての競技を通じて初の優勝となった。総聯中央の韓徳銖議長は祝電を送り、朴選手があげた成果は、在日同胞の大きな喜びであり民族の誇りであると最大の賛辞を送った。待ち望まれた快挙は、才気あふれる剛腕の、他を圧倒する勝利によって成し遂げられた。

 この日の競技には44人がエントリー。中でも選抜優勝の朴は、がぜん注目を集めた。

 朴は出足が不調で、スナッチでは1回目の試技(110キロ)で失敗。2回目で115キロを挙げたものの3回目の117.5キロも失敗し、3位に甘んじた。しかしジャークでは、1回目で140キロを挙げた後、2回目では参加者中、ただ1人145キロを成功させ、ジャークとトータルでの優勝を確定させた。3回目で挑戦した150キロは失敗したものの、選抜でマークしたスナッチ112.5キロ、ジャーク142.5キロを上回るスコアで優勝を飾った。

 朴は、「インターハイは高校最大のタイトルなので、ずっと目標にしていた。中学選手権や高校選抜で優勝した時とは気持ちが違う。当面はインターハイと選抜の二連覇をねらい、ゆくゆくは共和国の五輪代表を目指す」と話した。金尋監督は、「今回の金メダルは、中学時代からの積み重ねの成果であり、北海道や岩手の同胞を始め多くの人々に支えられて得られたという点で、普通の勝利とは違う。各地の朝高生にもやれば出来るということをアピールできたのではないか」と語る。

 応援に来ていた総聯北海道本部の金文谷委員長は、「2冠がかかる重圧に耐えて良く戦った。北海道の同胞らにとって、これ以上、励みになることはない」と祝賀した。父の朴昌玉さんは、「とにかくうれしい、良くやったの一言」と感無量の様子だった。

 

記録更新はならず/85キロ級、「良哲選手

 インターハイ・第46回全国高等学校ウェイトリフティング競技選手権大会の85キロ級競技が4日、岩手県の江刺市西体育館で行われ、北海道朝高の「良哲(2年)が出場した。

 「は、スナッチでまず90キロから挑戦。これを成功させ、2回目の試技でも95キロを成功させた。3回目の試技では、自己記録(97.5キロ)を更新する100キロに挑戦したが、タイミングが合わず失敗。ジャークでは、110キロ、117.5キロを続けて成功させたが、3度目の120キロ(自己記録タイ)は失敗した。結果、トータル212.5キロで44人中20位に終り、入賞には及ばなかった。

 「は「目標としていた自己記録更新を果たせず悔しい。全国のレベルの高さと自分の実力とのギャップを感じている。今後は練習量を増やし、着実に記録を伸ばして行きたい」と話していた。

 

逆転支えた勝負強さ

ライバル去り敵は「記録」

 優勝を争ったのは、朴徳貴と五十嵐雅哲(埼玉栄)、峯智幸(八幡中央)の3人で、3月に行われた選抜大会の再現となった。違っていたのは、2年生の朴が2人の3年生から追われる立場になったことだ。

 スナッチの記録は、3人とも115キロ。朴は2回目の試技で挙げたが、2人のライバルは3回目で追いついた。朴は、2人を突き放しにかかった3回目を落とし、体重差の判定で五十嵐、峯に続く3位に。「懸命に焦りを鎮め、ジャークでの逆転にかけた」。

 ジャーク1回目の試技では、競技前の申請より5キロ増やし140キロに挑戦。これを成功させて、上位2人にチャージをかける。峯は3回かけて140キロを挙げ、一足早く戦線を離脱。1回目で140キロをクリアーしていた五十嵐も、朴の追い上げを受けたせいか、2、3回目(145キロ)を落とす。朴は2回目で145キロを成功。スナッチ、ジャーク合わせて6回の試技のうち、わずか3回の成功で優勝を決めた。

 朴は失敗しても、続けて同じ重量には挑戦しない。破るべき相手がいる時は、勝つためのステップを踏み続ける。目標を見失わない意志の力と、ここ一番の勝負強さが勝利を支える。

 今後は、「全国連覇、高校記録更新、祖国の五輪代表を目指したい」と、夢はどこまでも広がる。

 今の階級なら、3年生のライバル2人がいなくなれば競い合う高校生は見当たらない。目標が大きいだけに、課題は山ほどあるだろう。しかし敢えて言うならば、目下のところ、ライバルは記録だけになった。 (賢)