日・南朝鮮初の海上共同訓練/軍事行動の統一化急ぐ
背景に対北先制攻撃作戦「5027―98」
日本の海上自衛隊(海自)と南朝鮮海軍が4日から6日まで、済州島沖で史上初めて共同軍事訓練を実施した。「遭難船舶の捜索・救助」の名目で行われたこの共同訓練は、共和国を「攻撃対象」にした日・南軍事協力を実践段階に押し上げ、日米南軍事体制の強化をはかろうとするもの。その背景には米・南朝鮮軍の対北先制攻撃作戦「作戦計画5027―98」がある。要するに共同訓練は、共和国を「不意打ち」(労働新聞5日付)にするものである。
「捜索・救助」は名目
共同訓練には、2日に釜山港に入港した海自護衛艦「しらね」「せとゆき」「とね」の3隻と、南朝鮮海軍の最新鋭駆逐艦「広開土大王」と「忠南」のほか、P3C哨戒機、艦載ヘリコプターなどが参加した。各艦が連携を取りながら艦の針路や形態を一斉に変える「戦術運動訓練」や「通信訓練」、航行しながらの給油のための「接近運動訓練」、「捜索・救助訓練」など各種訓練が展開された。
軍事専門家たちによると、今回の訓練は「人道的訓練」という条件付きで実現されたが、日本の本音は、新「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)関連法の成立で可能になった自衛隊による米兵の捜査救助活動など、米軍支援機能を円満に遂行するための実践訓練と考えているところにある。
また、米国と軍事同盟関係にある南朝鮮と共同訓練を行うことで軍事行動の統一化を急ぎ、日米南間の連携を強化するとともに、さらには三角軍事同盟をより一層強める契機になったことは言うまでもない。
こうした訓練を行う背景には、「作戦計画5027―98」をより強固なものにする必要性があった。この作戦計画は、先制攻撃を加え、平壌を占領、共和国で軍政を実施するなどの6段階に分かれており、共同訓練のような日本の後方支援も当然、必要とされる。
共同訓練は、朝鮮半島の緊張を高めるばかりだ。
連絡体制など確立
日・南間の軍事交流は、近年、より深まっている。
90年、海自が参加していた環太平洋合同軍事演習(リムパック)に、南朝鮮海軍が初めて加わったのがきっかけとなり、94年からは演習艦隊の相互訪問が始まった。今年5月には日・南防衛当局間のファクスによる連絡体制も確立された。とくに見過ごせないのは94年以来、それまで重複しなかった米南朝鮮合同演習「フォールイーグル」と日米共同演習を重複する日程に変え、日米南で共和国に「軍事的圧力」をかけ続けてきたことだ。
こうした演習や今回のような共同訓練は、東西冷戦時にソ連を想定していた「仮想敵」を共和国にして、日米南間の軍事体制を強化し、朝鮮半島ひいては東北アジアの緊張を高めるものになる。