日本は民族教育権保障を/総聯各団体代表ら、国連人権小委で訴え


 総聯各団体の代表らは2〜22日、スイス・ジュネーブで開かれた第51回国連人権委員会差別防止・少数者保護小委員会(人権小委)で3回にわたり発言。大学受験資格や教育助成など日本政府の朝鮮学校差別の不当性、また朝鮮学校生徒に対する差別暴行事件の現状について訴え、人権小委が調査し、日本政府に改善を促すよう要請した。13日には30ヵ国80余人が参加したNGO(非政府機構)の連帯集会に参加。朝鮮学校生徒への暴言・暴行事件について発言し、パネルを展示、ビラも配布した。会場には、倉敷初中のオモニたちが作成した民族教育の権利拡大を訴えるポスターも張り出された。

 朝鮮大学校政治経済学部副学部長の朴三石教授を団長とする代表団一行は8月初旬から現地入りし、精力的な活動を行った。

 朴教授と岡山県教育会の李康烈理事長は12日、人権小委の議題4「社会・経済問題」で、朝鮮学校生徒と父母に対する日本政府の人権侵害について発言した。

 代表らは、日本政府の一貫した政策は、朝鮮人としての民族性を育む朝鮮学校の教育を徹底的に差別し、不利な条件に置くことで、民族文化を維持継承する権利を否定するものであり、人権に関する国際条約に反していると指摘した。

 また昨年6月には国連・子どもの権利委員会、11月には自由権規約委員会が朝鮮学校差別の是正を勧告した事実について言及したうえで、国立大学が朝鮮学校生の受験資格を認めていないことについて触れ、国連勧告を尊重し、その実施を自ら率先すべき政府の対応が民間よりも遅れていると述べた。

 さらに岡山県の場合、朝鮮初中級学校生に対する補助は、日本の公立小中学校生の45分の1、私立学校生の20分の1で父母らの経済的負担は大きく、こうした理由で日本学校への就学を余儀なくされている児童もいるとして、在日朝鮮人は、教育の機会均等と初歩的な権利すら保障されていないと強調した。

 留学同関東の金順暎さん(東京大学2年)は5日、議題2「総合的な差別問題」で、朝鮮学校生の国立大学受験資格差別問題に関する発言を行った。

 金さんは日本政府が7月、朝鮮高級学校生も来年度から大学入学資格検定(大検)に合格すれば、国立大学を受験できるようにすると発表したことについて、「朝鮮学校の教育内容などは日本の学校に劣るものではなく、大学に入る学力があるかどうかは入学試験そのもので確認すればいいことで、大検というハードルを設けること自体不当だ」と述べ、日本政府がこうした差別的な態度を取るのは、マイノリティの民族教育の権利を認めないからだと指摘した。

 女性同盟中央の趙英淑子女教育部長と東京朝鮮中高級学校の李昌興教員は13日、議題5「女性に対する差別・暴行問題」で、朝鮮学校生への暴言・暴行事件に関して発言した。

 代表らは、日本国内では最近10年間、民族的マイノリティに対する重大な人権侵害である200件以上の暴行事件が繰り返されているとして、被害者のほとんどは朝鮮学校の女生徒であり、制服のチマ・チョゴリが切り裂かれるなどの被害があったと報告した。

 そして、こうした事件の背景には、日本政府が朝鮮への植民地支配を清算していないことがあると強調。民族的マイノリティの尊厳を保護することは、国際的な人権擁護において不可欠な問題だと指摘した。