同じコリアン!出会いの場を
関東地方在日学生−団体の垣根越え交流イベントに140人


 21世紀の同胞社会を担う10、20代が、自分たちの時代を作り出す新しい歩みを始めている。昨年12月22日、東京・池袋にあるサンシャイン60の展望台「エアーシップ」でコリアン学生の出会いの場を作ろうと企画された「クリスマスだよ、全員集合!」と題する交流イベントが行われ、関東地方の大学、専門学校に通う学生たちが集まった。新年代、2000年を迎えるにあたって、留学同所属の学生らが、「一人でも多くのコリアン学生が、自分の出自に対する自覚と誇りを持てる機会になれば」との思いから実行委員会を結成、3ヵ月に及び準備を進めてきた。


有名人のメッセージ

 東京の夜景を一望できるサンシャインの最上階。

 「今日はイベントに参加してくれてありがとう。友達をいっぱい作って帰ってください」。パーティーは実行委員長の金涼子さん(東京学芸大3年)のあいさつで幕を開け、続いて有名芸能人によるメッセ―ジが披露された。

 「きっと楽しいパーティーになるんだろうな。忙しくなかったら、ギターで歌ってあげたかった。また機会があれば、参加したいな」(歌手の西城秀樹さん)。

 「世界中には、もっともっと色々な問題があります。皆さんのたくさんの思い、広い視野が世界にはばたくことを期待しています」(タレントの黒柳徹子さん)。

 俳優の倍賞千恵子さんや堺正章さんからビデオメッセージが、バレーボールの中垣内祐一選手からも花籠が贈られ、イベントに対する関心の高さを伺わせていた。

 参加者は各テーブルに準備されたキムチなどの朝鮮料理に舌づつみを打ちながら、グループ対抗のクイズゲームや早食競争に興じていた。

意気投合して2次会も 

 参加者のうち、7、8割は朝高出身者だったが、南の留学生や他の学生団体メンバーの姿も見かけられた。

 民団学生会の徐史晃君(慶応大1年)は、「3日前、六本木で開いたクリスマスパーティーに実行委員たちが出席していて、その時に誘われた。総聯系なので正直、堅いイメージがあったが、1対1で話していると、踏み込めなかった所に入れた気がする。コリアンの出会いの場を作るという趣旨だったら、来年は一緒にすればいい」と話していた。

 また、流ちょうな朝鮮語で会話していた南の留学生(25、男)は、「最初は知らない人ばかりで戸惑ったが、言葉が通じたのがよかった。酒を飲みながらなので、屈託なく話ができた」と喜んでいた。

 朝高出身者でも卒業後の再会に「久し振り!」と喜びあう姿や、元クラスメートの顔をみつけて、「○○○君だよね」と懐かしむ様子も見受けられた。

 初対面同士の緊張感も、3時間に及ぶ交流で次第にほぐれ、最後には携帯電話の番号を教え合う光景もみられた。1回のイベントでは物足りなかったのか、「2次会」には半数の学生が参加し、さらに交流を深めた。

 

実行委員/
「みんな居場所求めてる」-今後もいろんなイベント

 イベントで司会を務めた実行委員の高昌佑君(慶応大3年)は「みんな出会いを求めていたんだなと思う」と感慨深げだった。高校から日本の学校に通った高君は、本名は名乗ってきたものの「どうしても朝鮮人ということを抑えてしまう日常」を感じてきた。

「みんな、ここが自分の居場所と思ってくれたんじゃないかな」。イベントを終えた実感は、高君自身の思いでもある。

 実行委員らは、普段から、日本の大学などに学ぶコリアン学生のネットワークを作るため、朝鮮語教室や日本学生との交流を進めてきている。しかし、同胞学生の多くが「通名」を名乗り、目に見えない存在になっていることから、捜すことさえも困難で、それゆえネットワークがなかなか広がらない。この閉塞感を取り払おうと、コリアンなら誰でも参加できるような交流イベントを企画したのだ。

 実行委員らは、民団学生会や韓学同など他の学生団体にも声をかけ、近年増え続けている南の留学生にも参加を募った。とくに実行委員は自分の人脈を基本に、「知り合いの知り合い」を捜し当て、「新しい出会い」をより多く作るために尽力した。

 実行委員長の金涼子さんは、「今日集まった新しいメンバーと、これからも色々なイベントをしていきたい。こういう活動を続けていくことが、新しい物を生み出すことにつながるはず」と話していた。                                                               (張慧純記者)