それぞれの四季/卞外順
心のトンネ
「20歳を迎える在日朝鮮青年の日」に際して地域の西東京朝青本部が発行した情報誌の「カップル紹介」欄に、夫婦で掲載されてしまった。貴重な出会いの場でもある朝青の「長所」をアピールしたいとのこと。1度は辞退したが、朝青のためならばと承諾した。
私たち夫婦と朝青支部との関わりは実際、深い。
私は高3の夏期実習以来、日校生にウリマルを教え、共に学生会活動にも参加するかたわら、地域に点在する同胞青年らと日常的な親交を深めてきた。そんな中、いつしか朝青の様々な行事の常連となっていた。
一方、生まれ、育った大阪で朝青専従活動をしていたこともある夫の方も、結婚前から、いとも自然にその輪の中に溶け込み、今では私以上に活動するようになっている。
おかげで、結婚式場に駆けつけ盛大な歌で祝ってくれた地域朝青支部メンバーが、その後、狭いわが家でたびたび会合を開くことも。そんな何気ないつきあいができるのも、朝青の長所なのだと思う。
思えば、結婚前の娘が仕事を終え、さらに夜遅くまで朝青活動に明け暮れる姿に、両親は毎晩、さぞかし気をもんだことだろう。
しかし、日校生や日校卒業生はもちろん、ウリハッキョを卒業し日本の社会や世界に飛び出した様々な立場の青年たちと出会うことで、同胞社会における私の視野は確実に広がった。いわゆる「トンネ」を知らないで育った私にとっては、朝青は心のトンネなのだ。
そんな私も、そろそろ引退。2000年に新たに門出する若者たちが担う朝青の未来が、今から楽しみである。(事務員)