記者が行く/体験コーナー
防災訓練
震度6強/身の安全確保し火の始末、その後非難
応急手当/知っていれば人命救助も
東京・墨田区にある最新の防災教育センター、本所防災館では、消火・煙・応急手当・地震などの各コーナーがあり、すべてを体験するには通常、3時間ほどかかる。防災に対する知識、技術、行動力を、楽しみながら身につけられるとあって、昨年は延べ7万人が来館した。
この日指導をしてくれたのは、東京消防庁本所都民防災教育センターの大和康基インストラクター。
立体映像と音響、座席の振動などによる、震災をテーマにした3Dの映像を見た後、地震コーナーで震度6強を体験した。
大和さんが「『地震だ!』と叫んだ後、防災頭巾をかぶってテーブルの下にもぐり、揺れがある程度おさまったと思ったら、火の始末をして外へ避難して下さい」と説明する。
テーブルの下に入った際、両膝を床につけ、手はテーブルの足の上の方をつかむとのことだったが、体験ではその妥当性を実感することができた。
震度6強は、テーブルの足にしがみついていても、ふっ飛んでしまうほどの揺れだ。震動で一瞬のうちに手がテーブルの足から離れたが、テーブルの足の上の方をつかんでいたので、何とか下の方に持ち変えることができた。
阪神・淡路大震災以降、大きな地震がきたらすぐに「火を消せ」ではなく、まず「身を守れ」、それから「火を消せ」に変わったそうだ。
これは何とか体得できたような気がしたが、応急手当はそうはいかなかった。
まず倒れている人の左側に座り、肩を叩きながら声をかける。返事がなければ、大声で「誰か救急車を呼んでください」などと協力を求める。返事がないのは意識を失っているということで、口をあけて見て中を確認。食べ物や吐しゃ物があれば取り出す。
そして呼吸がしやすいように、右手であご先を引き上げ、左手で頭を後ろにそらす。ほおを口と鼻に近付け、呼吸の有無を確認し、呼吸していなければ、すぐに人工呼吸だ。左手で鼻をつまみ、大きく口をあけて静かに1回、息を吹き込む。2回吹き込んだところで、首筋のけい動脈に触れて、脈の有無を5秒間みる。脈があれば人工呼吸を続け、なければ心肺蘇生だ。
心臓マッサージの圧迫位置は、みぞおちの上の部分だ。右手の指先をみぞおちに当て、その上に左手を置いた後、右手を重ねる。肘を曲げずに垂直に15回圧迫した後、人工呼吸を2回行う。これを繰り返す。応急手当は予想以上に難しかったが、それができるか否かで、人命を救えるかどうかが決まる。
救命講習は、近くの消防署などの消防機関でも実施しているので、1度体験してみてはどうだろう。(羅基哲記者、このコーナーは月1回掲載します)
入館無料。混雑する場合があるため、あらかじめ問い合わせを。年齢により体験できないコーナーもある。開館時間は午前9時〜午後5時。休館日は水曜・第3木曜(祝日に当たる場合は翌日)と年末年始(12月28日〜1月4日)。問い合わせ=東京都墨田区横川4−6−6(TEL 03・3621・0119)。都内には池袋(TEL 03・3590・6565)、立川(TEL 042・521・1119)にも防災館がある。 |