ニュースの眼/
南朝鮮選挙、落選運動
「不適格議員を落とせ」
81.2%が支持、「第2の6月抗争彷彿」
今年4月に行われる「国会議員総選挙」と関連して、南朝鮮では市民団体を中心にした 落選運動 が、驚異的な速度で拡散している。12日に結成された「2000年総選挙市民連帯」(総選連帯)は、その後も各団体の参加が相次ぎ、その数は500を越えた。総選連帯に直接参加していない市民・社会団体、労組も同連帯と連携しながら落選運動を繰り広げており、運動は 第2の6月抗争 市民による 選挙革命 の様相を呈していると評されている。
市民が選挙の主役に
20日現在、落選運動を宣言しているのは、中央レベルだけでも参与連帯を中心とする総選連帯と経済正義実践市民連合(経実連)、反腐敗国民連帯(890余団体加盟)、公明選挙実践市民運動協議会などの市民団体と「韓国労総」、民主労総などで、ほとんどの市民・社会団体が網羅されていると言っても過言ではない。
文化日報が15、16日に全国の成人男女1000人を対象に実施した世論調査によると、81.2%が落選運動に支持を表明し、79.3%が投票の参考にすると答えている。
このような盛り上がりについて、ハンギョレ新聞は、落選運動が「第2の6月抗争を彷彿(ほうふつ)させる」と書いている。
6月抗争とは、87年に「大統領間接選挙制度」に反対して市民、労働者、学生が一斉に立ち上がった事件で、最終的に「大統領直接選挙制度」を勝ち取った。
同紙は6月抗争時のように総選連帯が全国民的署名運動を行い、各地で大規模な集会を計画している点や、6月抗争を主導した国民運動本部の広報局長が総選連帯の常任共同執行委員長を引き受けているほか、国民運動の政策局長、女性団体代表が総選連帯の常任共同代表に就任しているなどの点を指摘している。
執行部が同じだから、運動形態も同じだろうと判断するのは早計だが、落選運動が6月抗争に匹敵する規模へと発展していることは事実だ。
注目されるのは、いずれの団体も、程度の差はあれ、総選連帯との連携を表明している点だ。参与連帯と経実連は、南朝鮮市民運動の双璧を成してきたが、協力して事にあたるということは、ほとんどなかった。それが、市民運動の1つのネックでもあったのだが、今回の連携によって、運動がさらに盛り上がる下地が整いつつあると言えよう。
政治の腐敗が引き金
落選運動が市民の間で急速に広がっているのは、南朝鮮の非民主的な選挙制度と政治の腐敗にある。
南朝鮮の現行選挙法では、市民・社会団体の選挙活動が禁じられている。つまり市民・社会団体およびその関係者が、民主化に逆行する議員を非難したり、特定の候補者を支持することが許されていないのだ。
また法で定められた選挙期間(今回は3月28日から16日間)以外の選挙活動も罰せられる。それに照らすと今回の落選運動は、明らかな「選挙違反」である。
こうした選挙制度は、選挙を通じて民主化を実現するという市民の権利を著しく侵しており、これに民衆は不満を募らせていた。
そして金権政治、ボス政治、地域政治と言われる南朝鮮の政治風土。議員会館内で公然と賭博に明け暮れ、ワイロで私腹を肥やし、政治よりも地域感情をあおることに汲々とする政治家に対する怒りが、落選運動には込められている。
今後、総選連帯は21日から落選運動支持署名運動を全国的に行い、24日には徹底した調査に基づいて公認・推薦不適格者リストを発表するほか、30日を「有権者権利宣言の日」と定め、全国の主要都市で同時多発集会を開いて有権者の支持を拡散させる予定だ。 (元英哲記者)