みんなの健康Q&A/
歯科(2) 歯並び矯正
かねだ歯科医院/金吉煥院長
機能面と見た目の改善が目的/本人のやる気、家族の理解が大事
Q なぜ歯列矯正をするのですか。
A 機能面と見た目の改善です。機能面とは、歯並びが悪いことによるむし歯や歯肉の腫れ、歯周病の原因の除去だけでなく、うまくかめなかったり、正確な発音が出来ないことの改善をいいます。かみ合わせが悪いと脳に運ばれる血液量、記憶力、唾液中の酸素、抗体の量に変化がでたり、運動の際に力が発揮できないといわれています。
見た目とは、単に口元の容貌の改善にとどまらず、笑うとき口元を隠す習慣の改善をも含みます。
Q なぜ歯並びが悪くなるのですか。
A 直接的要素として、乳歯列期のむし歯の放置や、拇指吸引癖(指しゃぶり)、アデノイドや扁桃腺炎による口呼吸などがあります。
環境要素として、食べ物が柔らかくなったせいでかまなくなり、顎の骨が十分に発達できない一方、栄養状態が良くなり、歯そのものの大きさが大きくなったことが考えられます。そのほかには遺伝的要素があります。
Q 歯列矯正にはどのような治療がありますか。
A 叢生(そうせい)、上顎前突、下顎前突、開咬、顎変形症などの本格的治療のほか、臼歯が抜けたあと放置したため歯が倒れ、ブリッジの修復前の部分矯正があります。
Q 叢生とは何ですか。
A 歯の大きさと顎の大きさの不調和で歯がデコボコに生えてくる乱杭歯のことです。上顎では犬歯が最後に生えるので八重歯も叢生です。
治療としては顎の大きさを広げたり、歯を奥へ動かしたりして歯を抜かずに治す方法と、歯を抜いて治す方法があります。
Q 上顎前突とは。
A 出っ歯のことで、上の歯が強く前に傾斜している場合や、上顎そのものが大きく前に出ている場合、下顎が小さく上顎が前に出ているように見える場合があります。
治療としては、低年齢では大きな上顎の成長を抑制したり、小さな下顎の成長を促したりすることが可能です。成人でも、最近では外科的手術により顎を大きくしたり、小さくしたりすることができるようになりました。一般的には、歯を抜いてその隙間に上の前歯を移動させたり、歯を奥に移動させたりします。
Q 下顎前突とは。
A 受け口のことで、前歯のかみ合わせが上下逆の状態です。治療としては、低年齢では小さな上顎を大きくしたりしますが、それ以降は下の歯を少しずつ奥へ移動させて、前歯の被蓋の改善を行います。遺伝的要素がある場合は、成長が止まっても下顎が前方へ突出してきますので注意が必要です。
Q 開咬とは。
A 奥歯をかみ合わせても、前歯や側方の歯がかみ合わないことです。指しゃぶりや口呼吸の人に多く認められます。治療としては原因の除去が一番重要です。
Q 治療はいつから始めるとよいのでしょうか。
A 歯列矯正の開始時期は歯並びの状態や、骨格、習癖、気道、遺伝的問題の有無、歯周組織の問題、本人や家族の理解とやる気の問題により異なります。治療方法には、早期治療(6歳〜10歳の混合歯列期)と永久歯治療があります。早期治療では顎の成長の改善と、悪習癖の除去が目標です。永久歯治療はすべての永久歯が生えてからの治療を指します。
Q 治療期間は。
A 早期治療が2〜3年、その後の永久歯治療が1〜2年です。永久歯治療のみでは2〜3年ですが、固定期間が必要です。通院はともに月1回程度です。
Q 矯正をするとむし歯になりませんか。
A 矯正装置を付けて歯磨きを怠るとむし歯、歯肉炎、歯周炎が起こりますが、正しいブラッシングを心掛ければ問題は起こりません。(京都市山科区音羽野田町7―5、TEL 075・581・6480)