営業してます/私設保育所 「あんり」 大阪・東成区
24時間体制で夜も安心/「頑張る女性の力になりたい」
働くオモニ(母親)にとって、幼い我が子を安心して任せられる保育所は不可欠だろう。とくに病院勤務や飲食店経営などの場合、深夜や早朝という時間帯も保母が常時いてくれる24時間体制の保育所の存在は、まさに救いではないだろうか。こうした切実な願いを叶えてくれるのが、今年4月で開設から満10年を迎える、大阪市東成区の私設保育所「あんり」である。
マンションの一室、2Kと限られたスペース。「定員」の限度は10人程度。この小人数制を開設以来ずっと守ってきた。現在、預かっている子供もちょうど10人で、所長の李秀美さん(35)と3人の保母が面倒を見ている。
また、共和病院(大阪市生野区)の職員や看護婦が子供を預ける同病院付属保育室の運営も、仕事の一つ。
東京出身の李さんは東京と大阪で朝高の教員を務めたが、出産を機に退職した。「あんり」の開設には、働く女性が急増している現状はもちろん、自身も子を持つオモニである李さんの「一人の母親として、同じ境遇の女性の力になりたい」という強い思いが込められている。
「働く女性が産休を取るのは容易ではない。出産した月によって取れる期間が変わり、すぐに職場復帰せざるを得ない場合もある。国籍も家庭事情も人それぞれで、『9時5時』で仕事が終わる人のほうが稀。親の立場になって初めて、現状が見えてきた」。夜も開いている保育所がないといった女性のニーズが、24時間保育所の開設につながった。
口コミが頼りで、給食も自前で作ったりと経営は楽ではないが、「母親に喜ばれるとうれしくて。11歳の長女が『保母さんになりたい』と言ってくれたのもあって、やめられなくなりました」。
「これからも、頑張る母親の力になりたい」と語る李さんだが、「男性で子供を預けに来る人がほとんどいないのが残念です」と、いまだに根強い「子育ては女性の仕事」という認識に釘をさすのも忘れなかった。 (柳成根記者)
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