それぞれの四季/李政愛
オープンマインドで
7年前、同僚に何度も勧められ、一念発起してスキー教室に入った。七転八倒の幕開けだったが、以来、しっかりはまっている。バランスと筋力だけが頼りの緊張感、滑っているときの無心、そして景色と、その魅力は尽きない。景色といえば、リフトに乗って山頂近くに行ったとき、思わず息をのんだことがある。清冽な空気がそこだけたわんで、真っ青な天の頂きに柔らかい水色の空が浮かんでいたのだ。「峠の上の空はあこがれのように甘い」という教科書の詩の1節が頭に浮かんだ。それは、峠を登りきった人の心情描写だとばかり思っていたのに、実際、あこがれのように甘い空がそこに有った。私には山頂に登った者だけに見せる笑顔のように思えた。
人との出会いもこれに似ている。私は良い師、良い友に恵まれた。いつだったか、自分はこれほどやっているのに分かってもらえないと愚痴をこぼした時、友が言った。
「今、やっとわかったけど、あなたの愛情は愛情ではない、征服欲だよ」と。ショックで2の句がつげなかった。しかし、その通りだった。自分の言動のひとつひとつに合点がいった。そして、幸せだと思った。心を開いてぶつかり合えるかけがえのない友と出会えたことを。
人生の豊かさは出会いの多さ、深さだという。そして、1歩踏み出さなければ出会いは生まれない。
長いこと同じ職場で仕事をしていると、ついつい慣れに甘んじ、体力の無くなる分、自分を守ろうと頑なになる。なるべくそうならないように、新しい自分に出会えるよう、オープンマインドでいきたいものだ。(西東京朝鮮第2初中 教員)