現代グループの金剛山開発
金正日総書記が訪問、「満足」表明

これまで30万人参加 第2段階終了へ


今月から日本人にも開放

 金正日総書記が9月30日、鄭夢憲・現代峨山理事会議長の案内で、同グループが観光開発を行っている金剛山地区を初めて訪れ、「満足の意を表明」(朝鮮中央通信)した。現代による金剛山観光は98年11月にスタート。南北関係の好転を民間からけん引する形で進み、これまで延べ30万人が参加している。今回、総書記自ら現地を訪れ一定の評価を下したことで、金剛山開発をはじめとする現代との協力事業はもちろん、6・15南北共同宣言以降、いっそう期待が高まる南企業の対北投資熱にも拍車がかかりそうだ。

南北を船で結ぶ

 現代の金剛山開発は、現代グループの総帥、鄭周永前名誉会長が98年6月、板門店を越えて訪北した際に北側と合意したのが発端だ。さらに鄭前名誉会長は同年10月に再訪北して金正日総書記と会談し、金剛山観光事業のほか各種事業について合意した。そして11月、南・江原道束草市の東海港と北・江原道高城郡の高城(長箭)港を観光船で結ぶ、現代の金剛山観光事業がスタートした。

 スタートから3ヵ月余で参加者が2万人を超えるなど、同事業の順調な滑り出しを背景に99年1月、現代グループは北側の窓口となっているアジア太平洋平和委員会(ア太委)との間で、金剛山開発に関する98年6月の最初の合意を修正・拡大した新たな契約を締結。同月には契約に基づく計画について、南朝鮮・統一部の承認を受けた。

 それを受け、鄭前名誉会長は同月末、再訪北している。

計画は4億ドル規模

 当時の報道などによると、当局に承認された現代グループの金剛山観光事業計画は、2000年末までに総額3億9713万ドルを投資するというものだ。

 同計画では、当初の「観光船による金剛山観光」から「金剛山一帯を観光地として開発する事業」へとその範囲が拡大された。さらに投資方式も、「南北合弁」から現代グループの「単独投資」へと変更された。また事業対象地域も、当初の九龍淵、万物相、三日浦、海金剛地区に加えて金剛山海岸、温井里、星北里、長箭湾、内金剛、通川、侍中湖地区にまで拡大された。

 計画は2段階に分かれており、第1段階(99年1〜6月)では1億33万ドルを投資し、高城(長箭)港近郊の温井里に休憩所、温泉場、売店を作り、長箭里に休憩所とガソリンスタンド、同地一帯に総延長5・5キロの道路と出入管理所を作ることになっている。

 また第2段階(99年6月〜2000年末)では2億9680万ドルを投資し、三日浦、通川地区に45ホールのゴルフ場2ヵ所、400室のコンドミニアム2ヵ所、スキー場、また侍中湖周辺と金剛山の海岸沿いに海水浴場、キャンプ場を各1ヵ所、高城(長箭)港に1000室の海上ホテルを建設することになっている。

 計画によると同グループは、事業の見返りとして99年1月〜2005年初めの6年3ヵ月間、総額9億4200万ドル(約1000億円)を北側に支払うことになっている。

「経済特区」にも

 朝鮮中央通信および南の各紙によると、金正日総書記は今回、現代が建設した高城(長箭)港の防波堤と埠頭施設、海上ホテル、温井里の休憩所、観光センターなどを見て回り、「満足の意を表すとともに、彼らの誠実な努力を称えた」(朝鮮中央通信)。

 見て回ったと報じられたうち、高城(長箭)港の埠頭施設、温井里の休憩所などは、上記の計画では99年1月までの第1段階に含まれている。さらに海上ホテルは2000年末までの第2段階(最終)で計画されているもの。総書記が現場に赴き「満足の意」を表明したことからも、計画が滞りなく順調に進んでいることがうかがえる。

 さらに今月からは、日本人にも現代の金剛山観光が開放された。6月に鄭前名誉会長一行が訪北して総書記と会談した際に合意されたというが、北側が対象拡大にゴーサインを出したということも、開発計画と観光事業の順調ぶりを証明するものだ。

 また六月の会談の際には、金剛山地区一帯を貿易・金融・文化・観光の「経済特区」として開発することで合意したとも報じられた。今回も「金剛山地域総合開発事業の拡大方案」(大韓毎日新聞2日付)が話し合われたとされていることから、この事業も進められている模様だ。

特別法制定も論議

 現代グループは金剛山開発事業を進める一方で、大規模工業団地造成も目指してきた。いくつかの候補地のうちから、8月には南北間の交通の便のいい開城に決定している。

 南の各紙によると、今回の金正日総書記と鄭夢憲理事会議長の会談では、金剛山観光開発、開城工業団地および開城観光に必要な「特別法制定」についても議論されたという。

 朝鮮の現行法では、北部に設置された「羅先経済貿易地帯」以外地域での単独投資はできない。工業団地を設置するとなると当然、法整備が必要となるし、計画に「単独投資」と記されている現代の金剛山開発も、ある意味では超法規的に行われていると言える。先月、投資保護、2重課税防止などの制度的保証問題を話し合うための当局者間の南北経済協力実務接触も行われたが、法・制度的な整備は不可欠だ。(韓東賢記者)

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