春・夏・秋・冬 |
コンピュータの普及によって情報・資料などの検索が便利になった。先日、国会図書館で朝鮮文化財の返還問題に関する資料を探している最中に、その効率性と実用性にあらためて強い関心を持った
▼例えば、45年から99年までの縮刷版の見出し340万件を1枚のCD―ROMに収め、全文検索方式を採用した朝日新聞のデータベースでは、必要項目を入力すると、見出しや分類項目に含まれている記事を瞬時に捜し出すことができる ▼その記事の掲載年月日や縮刷版の何ページの何段目に載っているかが、一覧表示される(記事本文は縮刷版でコピーするしかない)。「朝鮮」という文字を入力すると1万5256件が、「日韓条約」という文字を入力すると86件が表示されていた(「北朝鮮」は1万527件)。かりに、「敗戦後の朝日新聞の朝鮮観」というテーマで論文などを書こうとする場合、この検索を利用するのが一番だ ▼調べている最中に、2、3人の学生の話を耳にして驚いた。「ネットで、自分のテーマに合いそうな論文を見つけて、まるごと写しちゃえ」。確かにパソコン1台あれば、クリック1回で長い論文を検索・入手するのは簡単だ。情報などを手軽に取り出せるネットは、いろんな手間を省いてくれる ▼だが、情報などを仕事や生活に役立てたりする知恵や、社会現象を分析したりする能力はネットでは得られない。それは、1人ひとりの知識の蓄積と頭脳にかかっている ▼読書の秋。知識を得るにはなにより読書が一番だ。書を捨てるな。脳を鍛えよう。(舜) |