「朝鮮半島の新ミレ二アム」
出版記念会

李泳禧氏が講演


 漢陽大学名誉教授・李泳禧氏の著書・日本語版「朝鮮半島の新ミレニアム―分断時代の神話を超えて」(社会評論社)の出版記念会が10月27日、東京の私学会館(アルカディア市ヶ谷)で行われ、軍事独裁政権時代、李氏と親交のあった日本のジャーナリストをはじめ、学者、文化人,弁護士と関係者ら70余人が参加した。

 同書は南北朝鮮の正しい認識と相互理解の必要性を説いた、目からウロコの1冊として刊行後、専門家の間で話題を読んでいる。

 記念会で発起人を代表してあいさつをした林哲氏(津田塾大学教授)は、同書に収められた諸論文・論説には南北首脳会談とその後の動きを予想していたかのように思われるところが随所にあると指摘した。

 日本語版の監訳者・徐勝氏(立命館大学教授)は、急進展する朝鮮半島の情勢を見るにつけ、李氏のこれまでの南北、国際関係に対する洞察力と信念の正しさが立証されたものであるという思いを禁じ得ないと述べた後、同書が日本の人々に広く読まれ、朝鮮に対する公正な認識をもってくれることを願うと指摘した。

 続いて李氏が講演を行った。南北が戦争をしない、殺しあいをしないことを全世界に示した南北首脳会談は朝鮮半島に大きな地殻変動をもたらしたと述べた。

 しかしながら、楽観ばかりはしていられないとした李氏は、「あるアンケート調査によれば、統一について悩んだことがないという設問に47%、統一は必要でないという設問に24%」という結果が表れたと述べ、これは、これまで虚偽的な宣伝によって民族意識を麻ひさせられてきた結果であると強調した。

 また、和解ムードに危機感を覚えている反共支配集団は、あらゆる手法を用いて和解を阻止しようとしていると述べた後、こうした動きとともに、南北関係、さらに周辺諸国との関係がどう展開していくかを冷徹に見極めていかねばならないと強調した。

 記念会で李氏と11年ぶりに再会した在日の評論家・鄭敬謨氏が乾杯の音頭をとり、参加者らは食事をしながら朝鮮半島と日本の未来について話を交わしていた。

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