強盛大国 金正日プランー4−

対外経済

コンピュータで技術立国
南北交流が後押し


積極外交を展開

 朝鮮が外資誘致に本格的に乗り出したのは、1984年の合弁法制定からだ。90年代に入り、ソ連・東欧の社会主義諸国の崩壊後は経済特別区を設けるなど「資本主義市場対応型」の対外経済政策を取った。が、94年の金日成主席逝去後、西側諸国は朝鮮を圧殺しようと軍事的、経済的な圧力を強めた。加えて95年の大水害を機に食糧状況が危機的状態に陥った。悪化した内外の諸条件は、「資本主義市場対応型」対外経済政策の継続を困難にさせた。

 しかし、98年9月の最高人民会議を経て国家体制を整備した朝鮮が展開した積極外交により、また何よりも今年6月の南北首脳会談により、状況は大きく変わった。

 朝鮮は今年に入ってイタリア(1月)、オーストラリア(5月)、フィリピン(7月)と国交を樹立し、東南アジア諸国連合地域フォーラムにも加盟した。

 さらに10月、金正日総書記の特使として訪米した趙明禄・国防委員会第1副委員長がクリントン大統領をはじめ米政府高官と会談し、両国の敵対関係に終止符を打つ朝米共同コミュニケが発表された。その直後にはオルブライト国務長官が「大統領の訪朝準備のため」に訪朝し、金正日総書記との会談を果たした。

 総書記自身、5月に訪中して江沢民主席と、7月には訪朝したロシアのプーチン大統領とそれぞれ会談し、旧来の友好国との関係を固めた。南北首脳会談をはじめ、南の代表らとの会見にも積極的に姿を見せている。

 こうした姿はマスコミを通じて世界中に広く伝えられ、総書記自身と朝鮮のイメージアップに大きく貢献した。

「現代」がけん引役

 現在、南との経済協力が事実上、朝鮮の「対外経済」の突破口となっている。南北経済協力は、6・15南北共同宣言にも盛り込まれている。

 なかでもけん引役となっているのが現代グループだ。南北を海路で結ぶ金剛山観光は98年11月にスタート。これまで延べ30万人が参加し、今月からは日本人も参加できるようになった。9月30日には金正日総書記自ら現地を訪れ、事業に「満足の意を表明」している。

 現代は開城に大規模工業団地を造成する計画も推進中で、総書記と現代側は、これと関連した「特別法制定」についても議論したという。急速に拡大する南北経済協力を法的に保証することは不可欠で、総書記自身がこの問題に言及した意味は小さくない。

 一方、対外経済の振興を図るには、外資導入と共に輸出産業の育成が欠かせない。朝鮮では、「科学重視」を掲げる総書記の直接の意図により、コンピュータ産業の育成に力が注がれている。平壌の朝鮮コンピュータセンターでは約1000人のスタッフが輸出用のソフト開発を行っており、その実力は、最近視察した日本や南の経済人も認めている。

 この分野がうまく育てば、単純労働を売りにした委託加工による輸出立国ではなく、より付加価値が高く自立的な技術立国も可能となる。南はそのためのパートナーだ。実際、今年3月には三星電子とソフトの共同開発が始まっており、先日は南北、在日の合弁企業も設立されている。

 国際社会に「顔を見せた」ことで朝鮮の国際的信用度は高まりつつある。道を作っている南企業が実績をあげればそれがさらに信用となり、多くの外国企業も後を追うことになるだろう。(韓東賢記者)

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