第11回朝・日政府間本会談

過去の清算「深みある協議」
朝鮮中央通信

次回会談、日本側の準備次第


 第11回朝・日政府間本会談が10月30、31日の両日、中国・北京で行われた。会談には朝鮮側から外務省の鄭泰和巡回大使を団長とする政府代表団が、日本側から外務省の高野幸二郎日朝国交正常化交渉担当大使を団長とする政府代表団が参加した。

 会談では、朝・日両国の歴史的な未決問題である過去の清算をどのように解決するかについて、深みのある協議が行われた。

 次回の会談は日本側の準備が整うに従い、開くことにした。
(朝鮮通信)

謝罪、補償責任を回避日本側、旧態から抜け出ず

 【北京発=本社崔憲治記者】第11回朝・日政府間会談は、急変する国際情勢を背景に開かれただけに、朝・日はもちろん、南朝鮮や外国のマスコミの大きな注目を浴びた。

 朝鮮半島を取り巻く情勢が根本的に変わる中で、日本は過去の植民地支配に対する「決断」を下さざるを得ない状況に置かれている。

 しかし、今会談で日本側は、いわゆる経済協力方式に執着するなど、謝罪と補償を避ける従来の立場から大きく抜け出なかった。

国際情勢の変化に焦り

 会談が始まった当初、取材陣に対する日本側の発言は慎重だった。日本側は日本の記者向けのブリーフィングで、双方のやり取りを詳細に説明した8月の10回会談とは違い、朝鮮側と協議、合意したこと以外は一切言及しないとの姿勢を取った。

 日本側が慎重にならざるを得なかったのは、南北共同宣言発表に象徴される朝鮮半島の和解促進、朝米の敵対関係終息宣言、ヨーロッパ諸国の相次ぐ朝鮮との修交の発表など、世界各国が対朝鮮政策を転換する中で唯一、日本だけが出遅れているとの焦りがあるからだ。
 今回の会談に先立って日本当局とマスコミは、表面上、「日本は焦る必要がない」との論陣を張ったが、その焦りは隠せなかった。

 いわゆる「ら致」問題をめぐる森喜朗首相の失言に非難が集中したのは、決して偶然なことではない。これ以上、交渉の障害を作りたくない、というのが日本側の正直な心境だ。

 ある日本の記者は、「日本は今、内政に手がいっぱいで、外交問題に手を延ばせる状況にない。しかし、今回は外務省も謝罪と補償問題でなにかしらの決心があるらしい」と話した。

期待はずれの決心

 しかし、このような態度はうわべに過ぎなかった。

 日本側は、政府間会談では過去の清算問題に応じる一方、マスコミには「過去の清算とら致、ミサイル問題は同時に解決されなければならない」「謝罪は村山談話の線で朝鮮と明記する水準、補償問題は『日韓方式』に準じる方式で」と発言するなど、2枚舌を使った。言葉ではあたかも過去を清算する用意を見せながら、本質においては、謝罪と補償を避けようとしたのだ。

 日本側は、会談のブリーフィングでは、会談の内容を一切公開しないと言ったが、10月30日付の日本の新聞の夕刊にはほぼ似かよった内容と表現で、「日韓方式に準ずる経済協力を提議」「ら致問題などの解決を求める」などの記事が載った。これは、過去の清算問題から逃れようとする日本側の強固な立場を表したものといえよう。

残るは決断のみ

 朝・日国交正常化に向けた政府間交渉の一環として北京で両国外務局長クラスの予備会談が開かれて10年の月日が経った。

 10年間、朝・日会談をつぶさに見てきた朝鮮の記者は、「交渉が始まった当初は、国交がすぐに樹立されると思ったが、なぜ今日まで実現されないのだろう…」と過去の清算に目をそむける日本側の態度を非難した。実際、今まで日本は、朝・日の関係改善を遂げるチャンスが訪れるたびに、「核疑惑」や「ら致問題」を持ち出して進展にブレーキをかけた。

 朝・日会談は、名実ともに朝鮮に対する日本の植民地支配を清算する会談になるべきで、日本側が従来の主張を繰り返すなら、会談を続ける必要すらない。

 国際的な圧力で朝鮮の崩壊を狙った日本の期待も、21世紀に向けて激変する国際環境の前では通用しない。世界で唯一立ち遅れた朝・日関係を正常化するためには、日本が謝罪と補償を決断するしかない。

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