みんなの健康Q&A
生活習慣病とその予防(2)/糖尿病
基本は食事・運動療法
総エネルギー量厳守を
Q 生活習慣病で一番多いのは何ですか。
A 一概には言えませんが、糖尿病、高血圧、それに高脂血症がいわば御三家でしょうか。 Q そういえば、健康診断で血糖値が高いと言われたのですが、糖尿病でしょうか。 A 1回の血液検査で血糖値が高いからといって、必ずしも糖尿病とは言えません。血糖値は食事時間との関係で変化します。空腹時血糖値が126以上、糖分の入った水を飲んで血糖を測定する糖負荷試験で2時間後の値が200以上の場合に糖尿病と診断されます。 Q さらに詳しい検査が必要だというわけですね。ところで、血糖値が高くても平気な人もいますが。 A そこが、こわいところです。糖尿病は初期にはほとんど症状がありません。ところが、ある程度進行すると、のどが渇き、水分をたくさんとりたくなります。そして、尿の回数が増えてきて、夜中に何回もトイレに起きるようになります。急に体重が減ってくるようだとかなり重症です。何年か治療せずにおくと、いろいろな合併症が出現します。眼底の網膜症、腎症および神経症が3大合併症です。 Q どんな状態になってしまうのですか。 A 網膜症が悪化すると失明します。腎臓が悪くなると、尿が作られなくなり、人工透析を受けなければならなくなります。神経症は末梢(しょう)神経障害による手足のしびれやけいれんが典型的な症状です。そのほかにも立ちくらみ、排尿障害、性機能障害など、さまざまな問題が引き起こされます。 また、糖尿病は動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞といった恐ろしい病気を招きます。 Q 糖尿病の原因は何なのですか。遺伝は? A 通常、私たちの体は食べ物をとると血液中のブドウ糖の濃度すなわち血糖値が高くなりますが、時間がたつにつれて徐々に低くなります。これは、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きで、血液中のブドウ糖が活動エネルギーに変わるからです。ところが、糖尿病の人はインスリンが不足していたり、あるいはその働きが弱いために、体内でブドウ糖などの栄養素の利用が正常に行われません。そのため血糖値が高くなり、尿にも糖が排せつされるようになるのです。 必ずしも遺伝するわけではありませんが、遺伝的体質を背景にして、そこへ過食や運動不足、肥満、ストレスなどがきっかけとなって発病すると考えられています。 Q 糖尿病と診断されたら、どのように治療すればよいのですか。 A 治療の基本は食事療法と運動療法です。 食事療法の原則は、総エネルギー量、つまりカロリーを控える、食物繊維を多くとる、まとめ食いをしない、などです。1日に食べてもよい食事カロリーは、身長、体重、年齢および労働量などを考慮して決めますが、必ず医師・栄養士の指導を受けてください。 Q 糖尿病に良いといって、色々な健康食品を勧られているのですが。 A 食事の総エネルギー量さえ守れば、糖尿病に良い食品や、逆に悪いという食品はありません。栄養バランスに気をつけていただければ、普段の食品だけで十分です。 Q 毎日30分以上歩くように心がけているのですが、どうですか。 A 大変結構です。毎日続けることが大切です。糖尿病になっても、合併症による制限がない限り、どんなに運動しても構いません。 Q インスリン注射や内服薬による治療をしている人は、食事制限や運動はしなくてもよいのでしょうか。 A 薬物治療が必要な場合も、食事と運動療法がしっかりできていないと治療効果は上がりません。また、勝手にインスリンや内服を中断してもいけません。あくまで医師と相談のうえ、方針を決めなければなりません。 Q 次に、血圧のことで相談があります。50歳の知人が、血圧が134/88と言われたそうです。高血圧でしょうか。 A 現在の基準からすると、高血圧の範囲に入ります。65歳以上の高齢者では140/90未満が目標値ですが、比較的若い人や糖尿病患者の場合には130/85未満が推奨されています。 ただし、血圧は測定状況によって微妙に変化しますから、定期的に測定しないと判定はできません。 Q とくに何の症状もないようなので、治療の必要はありませんか。 A 血圧が高くても普通、症状がないので、ついついそのままにしておく人が多いようです。しかし、放置しておくと、脳卒中、心筋梗塞や大動脈瘤(りゅう)の破裂といった致命的な疾患をひき起こす危険が高くなります。 Q 頭痛、顔のほてり、肩こりやめまいなどは、高血圧と関係がありますか。 A これらの症状は高血圧による場合もありますが、大抵は神経的なものと思われます。あるいは、血圧を下げる薬の副作用によることもあるので、注意してください。 Q 血圧が上がる理由は分かっているのですか。 A 原因疾患があって血圧が上がる場合もありますが、ほとんどの高血圧は医学的には本態性高血圧といって、はっきりした原因を特定できないものです。 ただし、その引き金として、遺伝、肥満、塩分の取り過ぎ、運動不足、ストレス、飲酒などが考えられています。まさに生活習慣そのものですね。 Q 塩分制限だけが治療ではないのですね。 A もちろん、塩分は控えるべきですが、肥満是正やストレス解消なども重要なことです。 ◇ ◇ ●標準体重の出し方 |