取材ノート

日本の常識は世界の非常識


 「外国人お断り」の飲食店や入浴施設の問題に取り組むNGO「一緒企画」の活動を取材した。彼らが調べた中で最も悪質だと思われたのが、北海道・紋別市のはまなす通り商店街のケースだ。同商店街では飲食店組合が「お断り」の看板を受注し、加盟店約200のうち半数の約百店舗が揃って看板を掲げている。まるで「アパルトヘイト時代の南アフリカか、公民権運動以前のアメリカ南部」(一緒企画のT・ラズロ代表)。本当に驚いた。

 同商店街の飲食店組合長はラズロ代表に、「一人ひとりで看板を作るよりはみなが同じ看板にした方がお金がかからなくて済むと思い、組合が加盟店から注文を受けて、業者に看板を作らせた」と話したという。しかし、そういう問題だろうか。あまりの人権感覚のなさにがく然とする。

 紋別市の人口は約2万8000人。居住する外国人はわずか70人弱だが、1年間に同市を訪れる外国人の数は市の人口に匹敵する。そのほとんどがサハリンの木材やロシア海域でとれたカニを積み、紋別港に入る船のロシア人船員だ。さらにその多くは、紋別市と姉妹都市関係にあるサハリン・コルサコフ市出身だという。

  もう何十回も北海道の港にカニを卸しに来ているというロシア人船長は「ウオッカを飲んで泥酔するロシア人船員がいることは認めるが、だからと言ってロシア人をすべて排除する行為は理解できない。とても残念だ。韓国や中国など他の寄港先にはこうした現象はない」と語る。

 日本は国連・人種差別撤廃条約を批准している。その順守状況に関する初めての審査が来年3月に行われることに決まった。審査では、NGOが提供した情報も重視される。「日本の常識は世界の非常識」であることが明らかになるだろう。(韓東賢記者)

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