春・夏・秋・冬

 「われわれは機械ではない」「勤労基準法を順守せよ」――。韓国労働者の解放を訴え続けた全泰壱氏が、焼身自殺してから30年(13日)になる。享年22歳

▼当時、12歳から15、6歳の幼い下働きの女工は、うす暗い仕事場で、「1日16時間以上の重労働にこき使われ、ひと月に2回の休日を除いては1日も休めず、それも仕事が忙しいときには覚醒剤を飲んで何日も徹夜作業」(全泰壱氏の母の手記より)をさせられていた

▼全泰壱氏自身も、ろくに学校に行けず、ガム売りなど「底辺の人生を転々とし」た。が、人間性は失わなかった。安い給料をはたいて、幼い女子労働者にパンを買い与え、彼女らを病院に連れていった。しかし、1人では到底解決できる問題ではない。彼が労働運動に目覚めたのは、当然の帰結だった

▼それから30年。いま南朝鮮では、リストラの嵐が吹き荒れている。体質改善、コスト削減のかけ声のもとに、労働者が次々と職を失っているのだ。そして、その大なたをふるっているのが外国資本

▼市立仁川大のリ・チャングン教授(貿易学)によると、3年前の金融危機以後、外国資本は南朝鮮の主要銀行五行の筆頭株主となり、国内株式の市価総額の30%を掌握するに至っている

▼先月末、日本の各紙は日産自動車が「最高の当期利益」を記録したと報じた。売上高は横ばいだが、コスト削減の結果だという。同社も外資に身を委ねている

▼「利益至上主義」の後に残るものは…。全泰壱氏は「僕の死を無駄にしないで」と息を引き取った。(元)

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