私の会った人

石川逸子さん


 「慰安婦は商行為」、「慰安婦が強制だったという客観的証拠はない」などという奥野元法相、板垣参院議員ら政治家の妄言が、性懲りもなく繰り返された日本。石川さんは「従軍慰安婦にされた少女たち」(岩波ジュニア新書)などの著者。被害者らの想像を絶する苦難の数々を描いてきた詩人である。「この妄言の残酷さは、身体と心に深い傷を受けた彼女たちを半世紀たって再び侮辱するもの」だと述べ、「加害者と被害者たちとの、このあまりに逆立ちした関係は正されねばならない。恥ずべきは誰であり、悔いるべきは誰であるのか」と怒る。

 なぜ、反省もなく、こうした妄言が政治家の間で繰り返されるのか、その奥底に何があるのか。

 「人間の心理として、知られたらまずい事を突かれた時に、居丈高になったり、ヒステリックになって、逆に攻撃的になる。

 数々の資料や被害者たちの証言によって『慰安婦』という性奴隷にされた女性たちの大半は、日本の植民地・占領地の10代の少女たちであり、その企画・立案・管理などを大日本帝国が行っていたことが明らかになっている。被害者たちは殺されたり、病によって無念の死を遂げた人も多い。

  それは、無類の戦争犯罪・性犯罪であり、国際法にも違反している。体と心に深い傷を受けた被害者たちには現在の生々しい問題なのに、加害者にとっては遠い過去の出来事だ」

 被害者たちの心を再び残酷に切り刻む政治家らの言動は絶対に許せない、と語った。(粉)

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