全国高校ラグビー都予選決勝
東京朝高 1トライ及ばず
接戦も7―13で惜敗
同胞3千人 必死の声援/「緊張した」「来年こそは」
「花園」の夢、あと一歩及ばず――。第80回全国高等学校ラグビーフットボール大会東京都予選第2地区決勝が19日、港区の秩父宮ラグビー場で行われ、参加が認められて7年目にして初の決勝に進出した東京朝鮮中高級学校が東京高校と対戦した。試合は大接戦の末、東京朝高が7―13で惜敗。先に全国大会出場を決めた大阪朝鮮高級学校サッカー部に続く快挙達成は果たせなかった。 東京朝高は前半から積極的に攻め込むも、東京高校の堅守に攻撃の芽をことごとくつぶされる。一方、東京朝高も東京高校の攻撃を体を張って阻む。前半十八分には、東京朝高が相手陣内で決定的な得点チャンスをつかんだがトライに及ばず、両者、攻め手が見つからない状態が続いた。 スコアレスの均衡が破れたのは、前半24分。東京高校のペナルティーゴール(PG)が決まり0―3。後半3分には、東京高校が東京朝高陣内でのスクラムからゴール中央にトライ、ゴールも決まって0―010と点差が開き出した。 焦りが徐々にプレーに表れる東京朝高の選手たち。だが「まだ30分ある!」「声が出てないぞ!」という同胞の熱い声援が届いたか、後半9分、相手陣内でつないだボールがフッカーの朴元基選手(3年)に渡り、ゴール右隅に執念のトライ。ゴールも決まり7―10となった。スタンドの同胞は歓喜に沸いた。 だが、活気が戻った東京朝高も善戦はここまでだった。後半24分にだめ押しとなるPGを決められ、7―13でノーサイド。わずか1トライ1ゴール及ばない無念の敗戦となった。 「共にレベル向上」 試合後、泣きじゃくる選手たちに「顔を上げて!前を見ろ!」とげきを飛ばす申鉉秀監督。「選手たちは初の決勝であがっていた。相手の守りは堅く、うちは攻撃にミスが目立った。でも、同胞の声援を背に、みな頑張ってくれました」と、目から大粒の涙をこぼした。キャプテンの李ヨンミン選手(3年)も「緊張でいつもとテンポが違い、流れを引き寄せられなかった。後輩たちに夢を託したい」とうなだれた。 同校OB会の宋邦哲会長は「実力は伸びている。来年も勝ち上がってほしい」とスタンドで一言。兄弟で出場した李勇錫(3年)、勇静(2年)両選手の母親、柳明順さんも「悔しいけど、頑張ったから」と、自慢の息子をたたえた。 6点という僅差の敗戦。この差は何だったのか。東京高校の森秀胤監督は「点差ほどの実力差はなかった。ただ、春季大会準決勝で、朝高に1点差で負けた悔しさが、緊張で固くなっていた朝高をやや上回ったのかも」と指摘する。小田嶋毅キャプテン(3年)は「朝高はスピードに優れたいいチーム。相手のミスを誘って何とか勝てた感じだ。これからも朝高と切磋琢磨し、第2地区のレベルを一緒に上げていきたい」と、エールを送った。 あと1歩までたどり着いた感慨と、勝てなかった悔しさが入り交じった、ほろ苦い敗戦。「決勝進出は大きな財産。来年こそは」と、申監督は決意を語る。年々、着実に強くなっている朝高ラグビー。優勝を狙える実力校として、他校に恐れられる存在になった。大阪朝高、そして今回と3年連続の決勝敗退も、得たものは必ず今後の糧になるはずだ。 (柳成根記者) |