分断の歴史引きずらないで

89年に訪北/イム・スギョンさん 都内で講演


 1989年、平壌で開かれた世界青年学生祭に南朝鮮の全国大学生代表者協議会代表として参加した林秀卿さんが11年ぶりに来日し、統一への想いなどについて語った。

 東アジア冷戦と「私たち」をテーマに、東京の中野勤労福祉会館で開かれたミニシンポジウムには、定員を超える100人以上が詰め掛け、林さんへの関心の高さがうかがえた。

 シンポではまず、ソウル大大学院留学中に逮捕され、政治犯として19年間を獄中で過ごした立命館大学教授の徐勝氏が基調講演。非転向長期囚の故郷帰還や朝鮮労働党創建55周年行事への南の人士の参加など、「冷戦時代には考えられなかった出来事が起きている」「戦争と冷戦の時代から平和な時代に向かうべきだ」などと述べた。

 訪北後、板門店経由で南に戻った林さんは「国家保安法」違反容疑で3年5ヵ月の獄中生活を体験した。現在は米コーネル大で平和学を学んでいる。この10年、必ず統一されなければならないとの確信をつねに持ち続けてきたと語る。

 そして、「朝鮮半島で冷戦が終われば世界的な冷戦終息へと向かうであろうし、そのために在日同胞や日本人の果たす役割は大きい」と述べ、朝・日国交正常化交渉でもっとも重要なのは過去の清算であると主張した。

 また、金正日総書記と金大中大統領が順安空港で握手し抱擁した姿を目にし、89年に訪北した文益煥牧師が金日成主席と抱擁したことを思い出したと語り、「あの時は南では批判が多かった。そういう過程があってこそ、今のような状況が生まれた」。

 しかし当時、文牧師や自分を処罰した「国家保安法」が依然として残るなど、解決すべき問題があると指摘。恥ずべき分断の歴史をいつまで引きずろうとするのかを考えるべきだと強調した。

日本語版TOPページ