取材ノート

Jリーガー誕生に思う


 Jリーグに新しく朝高出身の選手が誕生した。サンフレッチェ広島に入団が決まった広島朝高サッカー部の李漢宰くん(高3)。朝高からJリーグへのストレート入団は初めて。先日、大阪朝高の全国高校サッカー選手権大会出場が決まったが、各種全国大会への門戸開放に象徴される環境の変化は、朝高の実力を目に見える形で浮き立たせている。

 しかし、生徒数では日本学校の比にならない朝鮮学校が各種大会でトップに上り詰めることは、簡単ではない。日本政府の公的助成が一切ない朝鮮学校は常に緊縮財政。何もかもが限られる中で、現場の努力は計り知れない。

 李くんを育てた広島朝高サッカー部も、年間100を越す対外試合をこなす。約3・6日に1試合。肉体的苦痛と精神的なタフさが求められるだけに「一人ひとりを感情を持った個人として接することが難しくなる」との、日本の教育現場における指摘も人事ではない。

 広島朝高サッカー部の高隆志監督(34)はこのたび、全国大会出場への門戸開放からの日々を振り返り、サッカー部の運営と管理に関する論文をまとめた。それによると、「強くなるための基本要素」は精神、技術、身体、戦術の4つ。とくに精神面では、チームが一致団結することが大事だと強調。

 また、過去5年間の戦績を分析しながら、指導員と生徒たちとの意思疎通がスムーズでなければ、チームの心も1つにならず、戦績も上がらないと総括。指導員は常に生徒に近い存在になるべきだと、自問自答した。

 高監督は39人の部員と年に約70回、日記帳を交換するという。日記帳を通じて生徒の内面を把握し、新たな目標や目標達成のための課題を書き込む。生徒と対話する大事な空間だそうだ。(張慧純記者)

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