春・夏・秋・冬 |
世界の警察(保安)官を自負、自称してきた米国。その口実にしてきたソ連の脅威が消滅した後、いうに事欠いて西部開拓時代の保安官に自己をだぶらせ、朝鮮やキューバ、リビアなどを「ならず者」呼ばわりし脅威の代用にしてきたことは周知の通り
▼その米国の大統領選挙、フロリダ州の票の確認を巡ってなかなか決着が着かない。誰も彼もがにわか評論家になって、あれこれと論評を加える。「前回のクリントン票がそのままゴアに流れなかったから」という単純なものから、「山でクマに出くわしたらゴアの話をしろ、といわれるほど退屈な男というイメージを払拭できなかった」など ▼一方で、「テキサス出身のブッシュに、とくに社会的に威厳を失いつつある父親たちが、力の象徴である保安官のイメージをだぶらせて一票を投じた」と分析するのは知り合いの米国人 ▼いつバブルが弾けるか、と懸念されるほど好景気の続く経済。しかし、その富の分配を確実に受けているのはごく一部の層でしかない。伝統的な農業を支えてきた中西部は取り残され、加えて旱ばつ、大雨など世界的な気象異常による自然災害に悩まされている ▼父親の収入だけで家族を十分に養えた50、60年代の「強くたくましい父親像」の復権、ノスタルジアが「保安官・ブッシュ」に走ったとも ▼そろそろ決着は着きそうだが、どちらが就任しても支持率は50%、「弱い大統領」にならざるを得ない。となれば、気にかかる対朝鮮政策も「現状維持で進むしかない」というのが前出の友人の結論だ。(彦) |