本社記者 平壌レポート

キムジャン(キムチ漬け)の季節

決め手は塩漬けの日


普段の罪滅ぼし?男性が材料運搬

 【平壌発=姜イル記者】11月、朝鮮では冬期用のキムジャン(キムチ漬け)の季節を迎える。

 平壌市内には白菜、だいこんを積んだトラックが走り、道行く人たちは「キチの漬け込みは済んだ」とあいさつを掛け合う。

 各々の家庭では、春先まで食べる白菜キムチ、カットゥギをはじめ、大量のキムチを漬ける。主な役割を果たすのは女性たちだが、男性が必ず担当しなければならない「領域」がある。材料の運搬だ。

 男性が白菜、だいこん、たまねぎ、にんにく、生姜など、数百キロの材料一式を職場から運び終えてこそ、女性たちが作業に取り掛かることが出来るのだ。

 キジャンの日は女性が決める。平壌市中区域のアパートの17階に住むキ・ドさん(53)は、11月18日にキムチを漬けることにした。気温が急に上がったり、漬ける時期が遅すぎたりすると、キムチが酸っぱくなり、発酵しないまま正月を迎えてしまう ことがあるだけに、天候の行方を注意深く見守りな がら日取りを決めたそうだ。

 塩漬けの日が決まるや、夫のキ・ジョンホさん(56)が家族6人分の材料300キロを運んできた。塩漬けにヤンニョムのすり込み…。カットゥギなど、他のキムチも同時に漬けるため、次の日は職場に出られない女性もいるほどの大変な作業になる。そのため、嫁ぎ先から娘のヨンヒさん(23)も手伝いに訪れた。

 昔から朝鮮では、家族はもちろん親戚一同が集まり、一斉に取り掛かったキムジャン。都市化、核家族化が進むなかでも平壌ではこの「伝統」が引き継がれているようだ。

 一方、男性たちはこの季節になると、「キムチ評論家」になる。友人や子どもたちに、キムチの味は女性の腕にかかっている、と語り、結局は「我が家のキムチが1番」との自慢話になるそうだ。

 「(材料を運ぶ)大仕事をしてくれました。普段、夫が家の仕事を手伝うことがありますか? だからキムチ漬けの日はとてもいい気分になります」(ドさん)

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