春・夏・秋・冬

 今世紀最後の師走。といっても、格別の何かがあるわけではないが、今世紀最後という冠を付すだけで、特別な感慨に襲われてしまうのだから不思議なものだ

▼マスコミ界では、その年の10大ニュースを選ぶのが定番になっている。今年のトップは、文句なしに金正日総書記と金大中大統領の対面ではないか。しかし、近視眼的なマスコミの事だから、米大統領選挙の混乱ぶりや、シドニー五輪女子マラソン金メダル獲得を上げるかも知れない

▼今世紀を通じるなら、世界を2分した初頭の第1、そして中間点の2次大戦だろう。20世紀が戦争の時代だった点については異論を唱える人はいないと思うが、両大戦の性格づけについては様々な意見に分かれるかもしれない

▼前者は産業革命後の、その資源と市場を求めた列強による世界分割、後者はその世界分割における資本主義国の葛藤、そして登場した社会主義との戦いを内包した構図に集約できると思う。しかし、その根底を成すのは列強、帝国主義国間の主導権争いということに尽きる

▼わが祖国、朝鮮半島の分断は主導権争いの負の財産である。パレスチナ問題もしかりで、今世紀に生じた民族紛争と呼ばれるすべてのものがそれに起因している

▼むろんすべての要素を排除するわけではないが、帝国主義、列強によって背負わされた負の財産を、彼らの手助けなしに民族の力によって解決の方途を探り、それを実現しようとその意思を明確にしたのは朝鮮民族が初めてのことである。その意味においては、今世紀最大のニュースだとも思う。(彦)

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